世界のアイアンマン・2021シーズンの今

    世界的な蔓延状況が続く新型コロナウイルス。国内では周知のとおり宮古島トライアスロンが来年に延期になるなど、2021年のトライアスロンシーズンにも引き続き影響を与えている。一方で4月の石垣島トライアスロンを皮切りに国内シーズンが本格スタート、5月~6月には新規大会の開催も発表されるなど、トライアスリートたちにとってもいよいよ期待が高まる状況になってきている。
    そんな中、世界のトライアスロン・シーンの現状はどうなっているのだろうか? 世界5大陸に渡り170を超える大会ネットワークを誇るアイアンマンシリーズを例に紹介していこう。
    まずはヨーロッパ。昨年はコロナウィルスの影響で予定レースが軒並み中止、あるいは延期となっていた中でも、2021年4月以降の新規レース開催情報をシリーズ主催者は次々とアナウンス。世界中のトライアスリートの不安を払拭し、この先のシリーズ戦を止めさせないという強い意志の現れともとれる精力的なスケジュールを公表していた。
    アイアンマンのヨーロッパ・中東・アフリカ担当マネージングディレクターも「4月にはスペイン・マヨルカ島でアイアンマン70.3が幕を開け、トライアスリートに素晴らしいロケーションを再び提供できるだろう。また、この地域で18大会を予定するフルディスタンスのアイアンマンも5月にキックオフする予定だ」と自信を示していた。

    4、5月の大会はリスケージュールに

    しかし引き続きのコロナウィルス感染状況を鑑み主催者は先日、4~5月に予定していた6レースを延期すると発表。思い通りのスケジュールはまだ描けていないのが現状だ。1990年代前半には世界でわずか6大会しかなかったオリジナル・アイアンマンのうちのひとつで例年5月に開催(今年は5月22日予定)されているランサローテ大会(スペイン)が、今回の変更の中で最も早く7月3日に、ほかは9月への移行やまだ調整中という状況である。一方これらほとんどの大会はすでにエントリーが締め切られており、予定していたトライアスリートたちはもどかしい気持ちが続いているだろう。しかしながら多国間をまたぐ参加者が多いアイアンマンでは現状やむを得ない判断といえる。

    ヨーロッパのアイアンマンシーズン幕開も遅れることになった

    北米に目を向けても同様の状況だ。昨年11月に実施されたアイアンマン・フロリダ以降、昨年内のスケジュールはすべて延期に。2021年シーズンの開幕となる予定だった3月のレースも延期され、4月より11日の70.3テキサス、18日70.3フロリダ、24日アイアンマン・テキサスとカレンダーに並んでいる。ただ、70.3テキサス、70.3フロリダは昨年11月から延期された大会。2月中旬時点で新型コロナウイルスのワクチン接種率が10%強のアメリカにあって、今後のスケジュールも国内情勢によって変更になる可能性は否めない。
    これらレース開催に向けてのひとつの障壁となっているのは、先述のアイアンマン・レースの特質といえる『国をまたぐ移動』であろう。多くの参加者が集うアイアンマンだけに、各国間の渡航が制限される状況下にあってはレースが成立しにくくなるのは明白だ。
    それとも関連するが、『受け入れ体制の確立』というのも現状大きなハードルとなる。このコロナ禍にあって、レースの舞台となる日本でいうところの自治体や運営スタッフなどの理解、協力が得られない限り開催にこぎつけるのは不可能といえる。

    そんな中、世界的にも注目されているのが3月6日開催予定のアイアンマン・ニュージーランド(アイアンマン70.3と同日開催)だ。こちらも1985年にオークランドでスタートしたオリジナル・アイアンマンのひとつで、99年に舞台を北島中部に位置するタウポに移して行われ続けている大会。今年はこのコロナ禍における2021アイアンマンのキックオフレースとなる。
    現在、ニュージーランド(NZ)は新型コロナウィルス感染の封じ込めに成功している国として世界的に知られているが、それは昨年の感染拡大時の早い段階からロックダウンなど厳格な政策を施しての結果といえる。現在もNZは海外からの厳しい入国制限を設けており、永住権保持者などごく一部の対象者を除き渡航することはできない。実際、参加者リストを見てみても大半がニュージーランド国籍のアスリートだ(プロはすべてNZ人)。
    そういった国策的な背景や総人口(日本の約20分の1)などコンディションが異なる点は多々あるものの、この約1カ月後に本格シーズンを迎える日本でも、アイアンマンNZは注視しておきたいレースといえる。
    その理由のひとつとして前述の「受け入れ側の体制」が挙げられる。2021NZ大会はまだ世界的にコロナウイルス・ワクチン接種スケジュールすら見通せない情勢の中、昨年10月中旬よりエントリーを開始。以降、内外に向けて積極的に情報を発信し続けている。その姿勢はトライアスリートはもちろんのこと、地元や運営スタッフなど大会関連者すべてに寄り添い、レースを成功させようという姿勢が感じられる。たとえばこうだ。(大会2週間前に国内で新型コロナウイルスが再発症した後の2月27日のリリースより)
    「先日の国内での新型コロナウイルス再発で、大会開催に影響を及ぼすのではないかと心配しているアスリートは多いと思います。しかし政府が警戒レベルを1に戻した(下げた)ことは非常にポジティブなニュースでした。私たちは引き続き保健省の最新のガイドライン、そしてイベント開催時に定められた国の規範に沿った安全対策を施し、レースに向けて全力で取り組んでいます。また今後、運営に関わる新しい情報が入ればお知らせします。ですので皆さん、トレーニングを続け前向きに取り組んでください。レースでお会いできることを楽しみにしています!」
    いずれにせよ、世界的に収まる兆しがまだ見えないコロナ禍にあって、2021年初のアイアンマン規模のレースが成立することは、トライアスロン界全体にとっても明るい兆しもたらすことは間違いなく、その吉報を待ちたい。
    このレースの当日情報はもちろん大会のライブページから得ることが可能だ。

    <アイアンマンNZのホームページ

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