ヤーン・フロデノがフルディスタンスの世界記録を更新 〜ZWIFT トライ バトル ロワイヤル〜

「ふたりの王者の戦いがトライアスロンの新たな歴史をつくる」。そんなレースコンセプトで7月18日に実施された “ZWIFT トライ バトル ロワイヤル(TRI BATTLE ROYALE)” で新たな偉業が生まれた。
 主役を演じたのはアイアンマン・ハワイのディフェンディングチャンピオンであるヤーン・フロデノ(ドイツ)。スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2kmのアイアンマンと同じ距離で開催されるチャンレンジ・ロート(ドイツ)で、2016年に7時間35分39秒の記録を打ち立てている絶対王者だ。これは、この距離のトライアスロンでの世界最高記録になっている。
 今回、フロデノ本人と彼のマネージャーがレースをプロデュース。「フルディスタンスの世界最高記録の更新」を目標に、出場者をたったふたりに絞ったマッチレースとして企画&開催。コースは公道(クローズド)を走るという、常識破りといえる観戦型トライアスロン・イベントとなった。

「トライ バトル」の大会名どおりふたりでのマッチレース。スタート時も独特の緊張感が漂う

 舞台はドイツ南部に位置するアルゴイ地区。波の立たない湖をスイムコース(4周回)、そしてフラットなバイク(5周回)とランコース(4周回)を設定し、新記録樹立のコンディションも整えられた。
 そしてもうひとりの王者としてこの舞台に登場したのがライオネル・サンダース(カナダ)。2017年のITUロングディスタンストライアスロン世界選手権覇者であり、アイアンマンでも幾度も優勝。7時間44分29秒(2016年のアイアンマン・アリゾナ)の自己記録をもつ “ダブル主演” に相応しいファイターだ。

ライオネル・サンダースも最新の Speedmax CFR DISC でレースに挑んだ

 ここで「ファイター」と記したのは、そのユニークなイベントの演出から。たとえば前日の記者会見では、ふたりがボクシングローブを着て登場するなど、まるで世界タイトルマッチのような見せ場が随所にみられた。さらには地元の応援者やメディアが色を添え、まさにレースは『バトル・ロワイヤル』の様相に。

前日の記者会見では両者がボクシングローブをまとって登場(写真左)/ スポンサーでもあるズイフトで両者がセッションしながら質問に対しコメントするなど、ユニークな演出が数多く見られた

 大会当日はあいにくの雨模様になったが、スイム序盤からハイペースでレースは進み、45分58秒でフロデノが上陸。その5分遅れでサンダーズが続きトランジションへ。
 続くバイクパートでは雨が脚を打ち付ける寒さとの戦いになったが、フロデノはなんと3時間55分26秒のタイムでフィニッシュ。後半少しペースを落としたものの、スタートから3周目(全5周)までは実に平均305ワットのペダリング出力を記録していたという。

バイクで驚異的なタイムを叩き出したフロデノ(写真上)/ バイクコースの折返し地点は特設バンクを設置。これも観戦型イベントとしてのアイデアのひとつ(写真下)

 そこからは、記録との戦いに注目が一心に集まる。相変わらずレースコンディションは厳しいままだが、それを跳ね返す執念をフロデノが発揮し、ランで2時間44分21秒をマーク。狙いどおりトータルで7時間27分53秒の新記録を打ち立てることに成功した。
 一方、サンダースはバイクでさらに遅れをとったものの、それでもフィニッシュタイムは7時間43分30秒。まさに異次元のスペシャルマッチとなった。

沿道には地元ファンの姿も多々見られた(写真上)/ サンダースをフォローするオフィシャルカー。リアルタイム計時や応援メッセージなどを表示して沿道にもアピールを欠かさない

 ふたりのスピードスターが共演し、型破りなレースは大成功に終わった。ただ今回のレースは記録だけにとどまらず、またライアスロンの新たな可能性を広げたともいえる。
 それは、このスペクタクルな舞台をフロデノ自身がプロデュースしたということだ。事前のプロモーションからコースの設定、そして何よりも見るものを引きつける超人的なパフォーマンス。与えられるのではなく自分で舞台をつくり、トライアスリート、応援者、スポンサーなどトライスロンに関わるもの皆で力をあわせて今の困難を乗り越えていく。このコロナ禍でレースのキャセルが相次ぐ中にあったからこそ、彼はトライアスロンのひとつのニューノーマルを提示しようと考えたのだろう。
 もちろん今回のレースの模様はライブ配信され、23万回の視聴回数を数えているという。

7時間27分53秒の世界記録の掲示板をバックに称え合うフロデノとサンダース

 トライアスリートが今回の距離(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)で最初に8時間の壁を破ったのが1996年のこと。同じドイツで行われていたアイアンマン・ヨーロッパ(現在はチャレンジ・ロートとして開催)でロタ・レダー(ドイツが)が叩き出した7時間57分02秒だった。それから四半世紀が経ち、いよいよフルディスタンスは7時間30分を切る時代に突入したことになる。速さを競い合う競技のタイムが向上し、アスリートが進化していくというのは自然な流れではある。しかし、ドイツで初めてサブ8が達成されたとき、誰が今回のタイムを想像できただろうか。
 当然、今回のリザルトは瞬く間に世界のライバルたちに伝わっているわけだが、そんな中、今年のアイアンマン・ハワイではどのようなレースが見られるのだろう。
ZWIFT TRI BATTLE ROYALE のホームページ ※クリック

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