バンサン・ルイが参戦 “CLASH DAYTONA”/ 観戦&参加型へと進化する世界のミドルレース

大会レポート(海外)

アメリカ南東部、温暖な気候で保養地としても有名なフロリダで12月2〜4日にラッシュ・デイトナが開催。アメリカ国内で実施される新興シリーズ『CLASH ENDURANCE(クラッシュ・エンデュランス)』がスタートした。(全3戦実施予定)

今回のプロ・レースで注目を集めたのは、この1週間前にUAE・アブダビで実施されたワールドトライアスロン・チャンピオンシップ大会の男子エリートを征し、シリーズランキング1位となったレオ・ベルジェール(写真下)と、同レース7位に入ったバンサン・ルイのフランス勢のエントリー。

今年5月のワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ横浜大会(写真)で3位に入ったレオ・ベルジェール。世界一を決める11月のアブダビ大会ではポディウムの中央に立った

51.5km最高峰レースの激闘後すぐに舞台をアメリカに移し、(アブダビ大会から)レース距離を延ばしてのエントリーとなった。(その後、ベルジェールは体調不良により出場をキャンセル)

このイベント、一昨年までは “チャレンジ・デイトナ” の名称で、2020シーズン締めくくりとして、男女プロの優勝者それぞれに約1,100万円、総額1億1,500万円という破格の賞金を用意。
当時は新型コロナウイルスの蔓延により、各国ほとんどのレースがキャンセルになる中開催され、ポストコロナ・イベントの先駆けとなった大会で、昨年はクリスティアン・ブルンメンフェルト(ノルウェー)が出場&優勝したレースでもある(写真下)。

大会の舞台となったのはデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ。
カーレースで有名なオーバルコースを主会場として3種目を実施し、メインとなるプロカテゴリーのレース距離は、今年はスイム1.6km+バイク60km+ラン16km。賞金の総額が1,350万円のイベントとなっている。

大きな特徴はそのプロ・レースを中心に、一般参加・エイジグループの多様なカテゴリーが開設されている点だ。
レースウィークとなる12月2日(金)から4日(日)の間、5kmのラン&ウォークに始まり、キッズトライアスロン、スプリントトライアスロン(S800m+B21km+R5km)、スプリントデュアスロン(R1.6km+B20km+R5km)、ミドルトライアスロン(S1.6km+B90km+R21km)、ミドルデュアスロン(R5km+B90km+R21km)、そして1マイル・スイムの一般種目がラインアップ。
まさにトライアスロンの祭典といえる。

3月開催となる『CLASH ENDURANCE』シリーズのマイアミ大会もサーキットコース(マイアミ・スピードウェイ)が舞台となっている

近年、海外では潤沢な賞金総額などを打ち出した新規のミドルディスタンス・シリーズが誕生し、トップ選手たちの動向にも変化が生まれている。
それは、フローラ・ダフィ(バミューダ/写真下)やテイラー・ニブ(アメリカ)、ブルンメンフェルトなど、五輪チャンピオン&メダリストの2022シーズンを見ると分かりやすい。

ダフィは今年、コリンズ・カップに代表されるPTO (Professional Triathletes Organization)が主催するミドルディスタンス・レース2大会(S2km、B80km、R18km)、そしてアイアンマン70.3世界選手権に出場。ニブもPTOレース、アイアンマン70.3(2大会)に出場している。
一方でブルンメンフェルトの今季の活躍については説明の必要がないだろう。

4月のアイアンマン70.3オーシャンサイド大会(カリフォルニア)で優勝。51.5kmからミドルまでトップランクの走力を示したテイラー・ニブ

そして今回、バンサン・ルイとレオ・ベルジュールのオリンピアンたちがクラッシュ・デイトナにエントリーしてきたというわけだ。
ただ残念ながら、ベルジュールはマイアミ入りした後、体調の不良により出場をキャンセルしたが、ルイがバイクパートでスペシャライズド・S-Works Shiv を駆り優勝。
また新たなフィールドを広げることに成功している(タイトル写真)。

前述のとおり、このイベントの特徴のひとつは単なるエリート・レースではなく、多くのエイジグループ・トライアスリートがレース期間中に各々のイベントに出場。そして自身のレースとあわせてトップ選手のパフォーマンスを楽しめるというスタイル。
こうして新生スタートを切っている “クラッシュ・エンデュランス” シリーズは、来年3月10〜12日にアメリカ・フロリダ州マイアミで、その後ニューヨーク州ウォトキンズ・グレンでも開催される予定だ。

クラッシュ・デイトナのプロ・女子レースで優勝したアンジェリカ・オルモ(イタリア)。彼女も昨年の東京五輪に出場したオリンピアンだ

このようなミドルディスタンス・イベントはここ数年増えてきており2023年以降、その傾向はさらに加速すると考えられる。もちろん、世界のトッププロたちも活動視野に入れていることだろう。

《クラッシュ・デイトナ上位リザルト》
【プロ男子】
1位 Vincent Luis (FRA) 2:23:48      
2位 Joao Pereira (POR) 2:24:12
3位 Jason West (USA) 2:24:58
【プロ女子】
1位 Angelica Olmo (ITA)  2:40:11
2位 Sara Perez Salla (ESP) 2:40:39
3位 Julie Derron (SUI)   2:41:55         

>> クラッシュ・エンデュランスのホームページ ※リンク

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道。2024年9月15日(日)開催を目指し実行委員会が立ち上がる / 日本にフルディスタンスのアイアンマンが帰ってくる!

  2. 2

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  3. 3

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  4. 4

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  5. 5

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  6. 6

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  7. 7

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  8. 8

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道 の2024年9月15日開催が正式にアナウンス / エントリーは12月19日の午前9時よりスタート!

  9. 9

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【後編】/宮塚英也のトライアスロン“EYE”  〜クリスティアンのトレーニグ改革〜

  10. 10

    アイアンマン70.3東三河ジャパン in 渥美半島 が6月10日(土)に開催!/ 世界選手権への道(フィンランド・ラハティ)も日本から!

おすすめ記事 過去の記事
  1. トライアスリートのためのTDF / ヨナス・ヴィンゲゴーのマイヨジョーヌ獲得をアシストしたサーヴェロ・新型 S5

  2. 【ミヤヅカの提言】理想的フォーマットだった今年の宮古島大会 / “宮塚英也のトライアスロン EYE”

  3. 【 IMハワイ&ニース特集】注目高まるアイアンマン世界選手権ハワイ / 世界のスポーツ大会が示すイベント価値観の多様化

  4. 【動画特集】練習パフォーマンスを高める 簡単&速効ストレッチ

  5. 2024年アイアンマン世界選手権ニース(女子レース)の出場枠獲得の新たなフロー & シリーズ全大会の男女スロット内訳を公表

  6. 【特集/トライアスリート的ツール・ド・フランスの視点】エアロロードの最高峰。ヴィンゲゴーのサーヴェロ・S5

  7. アイアンマン・セントジョージ特集 /3年ぶりの王座を獲得するのは誰か? 出場者リストが発表

  8. 人類はどこまで速くなれるのか? フルディスタンスで “サブ7&サブ8” を目指すプロジェクトの意義とは

  9. PTOがスイム2km/バイク80km/ラン18kmのワールド・ツアー8大会を発表 / ワールドトライアスロンとパートナーシップ開催へ

  10. 【 IM世界選手権ハワイ】チーム “ソダーロ”。挑戦の第二章 / ハワイ注目選手 ②

  1. ツール・ド・フランス2021特集 2年目の『バブル』を迎える世界最大の自転車レース

  2. ツール・ド・フランス2021に見る東京五輪を走るバイク① 〜バンサン・ルイ編〜

  3. ツール・ド・フランス2021特集 レースを支える応援者は“もうひとりの主役”

  4. 【動画】チーム&クラブ訪問/Team BRAVE 編(兵庫)

  5. グスタフ・イデンとアシュリー・ジェントルがツアー開幕戦を勝利 / PTOカナディアン・オープンが開催

  6. ツール・ド・フランス2021に見る東京五輪を走るバイク② 〜ドリアン・コナン編〜

  7. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 エアロロードという選択肢

  8. 新しい地平を開くコリンズ・カップ。賞金総額1億6千万円のレースが開催

  9. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 ブレーキシステムのトレンドを追う

  10. 東京五輪のコロナ対策でフォーカスすべき “Bubble (バブル)” とは?

TOP