8時間03分13秒。先月の6月1日にドイツで行われたアイアンマン・ハンブルクで驚異のアイアンマン世界記録をマーク。今回、チャレンジ・ロートの記者会見では「将来的に女子がフルディスタンスで8時間を切ることは可能だと思います」とコメントしたローラ・フィリップ。


現在、その前人未踏の域に最も近いといえる彼女が、ハンブルクで世界を震撼させた走りをサポートしたスーパー・ウェポンの注目ポイントを紹介する。

【ホイール】
フィリップはスイス・サイド(SWISS SIDE)のエアロホイールを早い段階から愛用。
F1出身の技術者チームによって設立された空力エンジニアリング・メーカーの SWISS SIDE は、独自の風洞実験ノウハウなどからホイールやパーツ開発において、先進的なエアロプロダクトを輩出し続けている。

ハンブルクでは前輪がハイト80mmのディープリム、後輪がディスクで “攻めの姿勢” が強く感じられた。(写真は後輪も80mmディープリム)
ちなみにこのホイール・ラインアップは、今回のロート大会・エキスポでモデルチェンジされている。
進化した点はワイド・リム化とそれに伴う新たなエアロテクノロジーの導入で、間もなく正式発表されるとのこと。
こちらのほうは今後の特集コラムで改めて紹介するが、今回のチャレンジ・ロートでフィリップが新モデルを投入するかにも注目したい。
【タイヤ】
ドイツ発信、SCHWALBE(シュワルベ)のレーシング・チューブレスタイヤの中でも『PRO ONE AERO』を使用。このモデルの特徴は、サイドウォールの表示にもあるように「フロント用」と「リヤ用」が別デザインとなっている点だ。

タイヤ幅は前後同じものの、フロントは断面を前から見たとき先端に向けて微妙にシェイプされた形状に。リアはグリップ力&安定性をもたらすラウンド形状にデザインされている。
このフロントのデザインは、正面から受ける風の抵抗を少しでも低減させるためのもの。わずかな形状の差らしいが、秒を削り出すためのテクノロジーとしてメーカーが研究に研究を重ねたという。

【カスタム・コクピット】
DHアタッチメントの域を超えた、まさに『コクピット』。こちらも前出のスイス・サイド社が開発協力しており、同社のエアロテクノロジーも惜しみなく投入されている。
先のハンブルク大会時は、アームレスト部の素材の上に、冷却機能に長けたファブリックを装着。快適性を上げていたという。

【パワーメーター】
SRMのトップモデルを使用。スピードプレイ(ペダル)も、もはやスタンダードなアッセンブルといえるかもしれないが、実はこのSRMモデルも今回のロート大会・エキスポで未発表モデル(2週間後に世界リリースされる)が展示されていた。
こちらも次回コラムで詳しく紹介!

【フロントディスクブレーキ】
ローター径・140mmを採用。
通常、主たる制動力を担うフロント部分には160mmを使用するのがスタンダードといえるが、前後とも140mmをハンブルクでは採用していた。
これは比較的(ハンブルクの)コース設定がフラット&イージーという利点を受け、フロントディープリム(80mmハイト)使用によるハンドリングへの影響を極力抑える狙いもあったものと考えられる。
【デザイン】
アイアンマン世界チャンピオンだけに許されるフレームの刻印。現在の☆ひとつ(1勝)を今後、どれだけ増やしていくことができるのだろうか?

彼女のアイデアを具現化したというシークレット(主に内側の)ペイント。
キャニオンのデザインチームが短期間で総力を挙げて仕上げたという。


「最高にイケてる傑作です!」と、もちろん本人は大のお気に入り。
内に秘めたパッションを表現したような、まるで彼女のキャラクターをオマージュしたスペシャルモデルといえるだろう。