先週末の7月23日と24日、カナダ・エドモントンでPTOカナディアン・オープンが開催された。
PTOツアー2022の開幕戦となったこのレース。今年のツアーはカナディアン・オープン、コリンズ・カップ(8月20〜21日/スロバキア・ブラチスラヴァ)、PTO・USオープン(9月17〜18日/アメリカ・ダラス)の3大会となる。
そしてカナディアン・オープンの賞金総額は男女ともそれぞれ100万ドル(約1億3,500万円)。ミドルディスタンス(スイム2km、バイク80km、ラン18km)ながら破格となる賞金レースで世界から注目を集めていた。
まず7月23日に行われた女子のレース。
前評判では、アイアンマンで女子のレコードホルダーとなったローラ・フィリップ(写真上)やホリー・ローレンス(いずれもドイツ)、地元カナダのポーラ・フィンドレー、オリンピック・デュアルメダリスト&先月のエキシビションレースでフルディスタンス8時間切りを達成したニコラ・スピリキ(スイス)などに注目が集まった。
メイン会場はエドモントンの中心地に位置するホーレラック公園で、スイムはその公園内にある貯水池を泳ぐ。
続くバイクはダウンタウンも走り抜ける20kmを4周回。ここでトップに立ったのが地元の声援の後押しを受けたポーラ・フィンドレー(写真上)だった。
バイクコースは市街地の一部も走るエキサイティングなレイアウト
しかし公園内のコースを4往復するランに入ると、今年3月のクラッシュ・マイアミを制したオーストラリアのアシュリー・ジェントル(写真下)が追い上げを見せ、7.5km地点でフィンドレーをパス。
そのまま PTOツアーの栄えある最初の勝者となった。
優勝賞金10万ドルを獲得したジェントルは、「もともとはお金のためにスポーツを始めたわけではなかったのですが、今はプロトライアスリート。だから非常に意義のある勝利でした。プロにとって、PTOが主催する総額100万ドルのレースは、間違いなく注目を集めていくでしょう」と、今後のツアーの発展を期待している。
今年限りで引退を表明しているニコラ・スピリキは10位でフィニッシュ。大きな声援を受けていた
【女子上位】
1位 Ashleigh Gentle (AUS) 3:30:54
2位 Paula Findlay (CAN) 3:33:16
3位 Chelsea Sodaro (USA) 3:34:56
4位 Laura Philipp (GER) 3:35:10
5位 Julie Derron (SUI) 3:36:18
翌日25日には男子のレースがスタート。
こちらも、クリスティアン・ブルンメンフェルト(写真上)とグスタフ・イデン(ともにノルウェー)、地元のライオネル・サンダース、アリスター・ブラウンリー(イギリス)やセバスチャン・キーンレ(ドイツ)など、注目のラインアップを見せた。
レースはバイクフィニッシュで先行したアリスター・ブラウンリー(写真上)がトップでランに移るも、脚のコンディション不良でランの練習量が積めていなかったこともあり、途中で一旦ストップ。
そのブランウンリーを横目にトップに立ったのが、ランスタート時から並走を突けていたふたりのノーウィージェン、ブルンメンフェルトとイデン(写真下)だった。
スタート前の選手紹介など昨年のコリンズカップ同様、魅せるための演出を随所に見ることができたレースだった
予想されていた盟友のデッドヒート。アイアンマン世界選手権チャンピオンとアイアンマン70.3世界選手権チャンピオンとの争いは、ほかのビッグネームの走りとも明らかにスピードが違うもだった。
しかし、その後ブルンメンフェルトも突如ストップしてしまう。大腿部にけいれんを起こしてしまったのは、それだけふたり走りが激しかったからだろう。
これによりイデンが逃げ切って優勝した。
フィニッシュ前の花道の装飾もカナダバージョンに
しかし、まわりを驚かせたのはブルンメンフェルトが再び走り出し、最大1分半あった差を27秒まで追い上げて2位に入ったこと。さながらターミネイターのようだとギャラリーを盛り上げた。
2位のブルンメンフェルトは、「あれだけのトラブルがあっての7万ドル(2位の獲得賞金)は悪くはないよね。次もがんばるよ」とのこと。
一方イデンは、「PTOが立ち上げたこのツアーレースで、多くのトッププロと争えるのは素晴らしいこと。皆が最高のパフォーマンスを見せられるよう、駆り立てられているでしょう」と、このレースの可能性に期待を寄せている。
ブルンメンフェルトのいう次とはそう、8月のコリンズカップ(スロバキア)だ。
地元エントリーとなったライオネル・サンダースは7位。今年もコリンズカップに出場してくるだろう
【男子上位】
1位 Gustav Iden (NOR) 3:10:48
2位 Kristian Blummenfelt (NOR) 3:11:15
3位 Aaron Royle (AUS) 3:14:26
4位 Sam Laidlow (FRA) 3:14:47
5位 Frederic Funk (GER) 3:14:56
完全復活を目指すセバスチャン・キーンレは納得のレースになったという。次のコリンカップではさらにコンディションを上げてくるはずだ