トップチューブ前部に沿って、フィンのようなデザイン形状を取り入れたステム、専用設計されたハンドルとエアロバーなど、現在のTTバイクでは定石ともいえる機能ををひちはやく取り入れた ジャイアント・トリニティ ADVANCED PRO TT。ツール・ド・フランスでは、チーム バイクエクスチェンジ・ジョイコが導入している。
バイクメーカーとしての表記は『トライアスロン/TTバイク』となっていて、その順序からしても、トライアスロン色が強い印象がある。実際、フロントにボックス型&ハンドル一体式デザインのハイドレーションや、トップチューブには補給食入れをセットできるようにもなっている。
リア周りのフレーム形状などをみるとトライアスロン専用設計に見えなくもないが、ロードレースのTTバイクの基準も満たしているモデルだ
一方で、UCIのロードレース車両規定にも完全対応しており、ロードタイムトライアル向け仕様としても利用できる。サーヴェロのP5と同じ位置づけともいえるだろうか。
このバイクの別の特徴のひとつに、CADEX(カデックス)のホイールが装着されている点が挙げられる。
カデックスは世界最大規模の自転車メーカーであるジャイアントが、実戦でのテストを経てリリースしたプレミアム・パーツブランド。独立したプロダクトメーカーとして誕生以来、カーボンスポークを用いた軽量ホイールや、専用設計のサドルなど、技術の粋を結集させたプロダクトを数多く排出してきている。
一方で、現在もっとも注目されているトライアスリートのひとり、クリスティアン・ブルンメンフェルトが、カデックス初となるトライアスロンバイクを導入し、5月のアイアンマン世界選手権(セントジョージ)などを制したことは記憶に新しい。
一方、トリニティ ADVANCED PRO TT に関しては、トライアスリートでは、昨シーズンまでブルンメンフェルトがノンドラフティングレースで使用(写真下)。12月にメキシコで行われたアイアンマン・コスメルで、7時間21分12秒の男子アイアンマン・レコードを叩き出したことでも知られている。そして現在も、同僚であるグスタフ・イデンが決戦バイクとして使用している。
そういう点でも、ジャイアント ✕ カデックスというセッティングは、トライアスリートも注目すべき組み合わせといえるだろう。