11月21日にメキシコで開催されたアイアンマン・コスメルで歴史的な記録が打ち立てられた。クリスティアン・ブルンメンフェルト。言わずと知れた東京オリンピック2020金メダリストが、アイアンマン初挑戦にして7時間21分12秒の驚異的なタイムで男子プロを制している。
当初、ブルンメンフェルトは今年10月に予定されていたアイアンマン世界選手権に特別招待として出場するつもりだったが、新型コロナウイルスの影響で大会が来年に延期。その後、11月のメキシコ大会にスケジュールをスライドさせることを公表しており、ビッグレースに向けたコンディションをそのまま持ち越しての快挙達成といえる。
ちなみに、ブルンメンフェルトは9月にアメリア・ユタ州セントジョージで行われたアイアンマン70.3世界選手権に出場しているが、そのときはバイクで思うようなパフォーマンスを発揮できず26位にとどまっていた。
しかし今回のレースでは、トランジションを除く3種目それぞれのタイムでスイム39分41秒、バイク4時間2分40秒(!)、ラン2時間35分24秒(!!)をマーク。
舞台となったコスメルはメキシコの東部、カリブ海に浮か小島で、多くのダイビングスポットやクルーズ船人気の寄港地などを有するメキシコ屈指の観光地。もちろん、コスメル島は小高い山などもなくフラット基調のコースでバイクの最大高低差は約20m、ランは10m以下の高速レース必至のレイアウトなのだが、それを味方に持ち前のスピード&パワーを最大限に引き出してのフィニッシュとなった。
今回、ブルンメンフェルトが打ち出したタイムは、アイアンマンではないものの同じ距離で7月に実施された ZWIFT トライ バトル ロワイヤル でヤーン・フロデノ(ドイツ/写真下)がマークしたフルディスタンス世界記録、7時間27分53秒を大きく上回るものとなる。
一方で女子プロの勝者となったサラ・スヴェンスキ(スウェーデン)のタイムも8時間22分41秒。彼女は2019年のアイアンマン・バルセロナでは8時間34分10秒を叩き出して優勝しており、コロナ禍のレースブレイクを経て再びワールドクラス・アスリートに名乗りを上げている。
去る11月6日にアメリカで行われたアイアンマン・フロリダでは、同じスェーデンのグスタフ・イデン(写真下)が男子プロを7時間42分57秒で制しており注目を集めていたが、今回のブルンメンフェルトの快挙は、まさにこれまでの次元を超えたアイアンマン高速化時代の突入を、如実に物語ることとなった。
9月のアイアンマン70.3世界選手権・プロ男子を制したグスタフ・イデンも今後のアイアンマン・シーンでさらに注目を集めるだろう