イデンの3連覇、チャールズ-バークレーの2連覇なるか / アイアンマン70.3世界選手権

IRONMAN

今週末の10月28日(金)、29日(土)にアイアンマン70.3世界選手権がアメリカ・ユタ州セントジョージにて実施される。(写真上は昨年大会)

昨年9月に同じくセントジョージで行われた70.3世界選手権では、新型コロナウイルスの影響による参加者減から1日開催(当初は2日予定)となったが今回は104 の国、地域から6,000 人を超えるアスリートが出場予定。今年のアイアンマン世界選手権(ハワイ)同様2日間にわたって行われることとなる。(※写真をタップするとフルサイズで見られます)

注目のプロカテゴリーは28日に女子、29日に男子がスタート。出場メンバーを見ても、これまでの歴史を上回るスピードレースが展開されることになるはずだ。

優勝候補は男女とも10月6日、8日に開催されたハワイ上位組。男子は優勝したグスタフ・イデンと3位のクリスティアン・ブルンメンフェルト(写真下)のノルウェー勢。
女子は2位を獲得し、ケガから完全復活したルーシー・チャールズ-バークレー(イギリス/タイトル写真左)に注目が集まることは誰もが異論のないところであろう。

特にイデン、ブルンメンフェルトの “ノーウィージェン・デュオ” は、大会ディフェンディングチャンピオン(イデン/2021年70.3世界選手権優勝・写真下)、同じくセントジョージで実施された今年5月のアイアンマン世界選手権覇者(ブルンメンフェルト)と、経験&コース適性を含めてスキが見当たらないといっても過言ではない。

さらには、もしイデンが優勝すれば2019年のニース大会から3連覇ということになる(2020年はコロナ禍で実施されていない)。

ロング、ショートのトップ選手が激突
連覇の可能性でいえばチャールズ-バークレーも2021年大会の優勝者。10月のハワイでは得意のスイムで突出したタイム(1位)をマークし、バイクでもロングスパートに対応するまでのパフォーマンス回復を示しており今回、独走優勝の可能性すらあるだろう。

一方で70.3大会はスピード重視のレースでもあり、チャールズ-バークレーのライバルとして、昨年同大会3位で東京オリンピック銀メダリスト(混合リレー)のテイラー・ニブ(アメリカ/写真上)、同オリンピック金のフローラ・ダフィ(バミューダ/写真下)などショートのトップ選手が挙げられる。

特にダフィは、今年のミドルディスタンスでは8月にスロバキアで行われたコリンズ・カップ(18人中9位)、9月に実施されたPTO・USオープン(6位)の2大会にこれまで参戦。バイクもロードからトライアスロンモデルにスイッチしてエントリーしてきたがいずれも思うような成績を残せていない。

今年5月にワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ横浜大会出場のために来日した際は、「(70.3世界選手権は)今シーズンの大きな目標のひとつ」と話していただけにモチベーションは高いだろう。

注目したい “コリンズ・カップ組”
今回のセントジョージ70.3大会にはエントリーしていないが、10月のハワイでプロ女子レースを征し一気にスターダムに駆け上ったチェルシー・ソダーロ(アメリカ/写真下)、プロ男子のバイクパートで独走劇を演じ「あと一歩」というところまでいったサム・レイドロー(2位/フランス)。

今年このふたりには共通項がある。いずれも8月の コリンズ・カップ に出場しており、それをステップのひとつとしてハワイで結果を残しているという点だ。

ノンドラフティングの世界トップレースの成績をもとに算出される、PTOワールドランキング をもとに選抜され出場するコリンズ・カップ。ゆえに参加する選手は実力者であることは間違いないのだが、今年その中から『新生』ともいえるアスリートが一気に世界のトップへと躍り出ている点に注目したい。

8月のコリンズ・カップでは18人中18位とまったく振るわなかったレイドロー。しかしロング2戦目となったハワイで2位を獲得し一躍注目を浴びた

ちなみに、このコラム冒頭から紹介しているイデン、ブルンメンフェルト、チャールズ-バークレー、ニブ、ダフィたちも当然、これまでのコリンズ・カップ出場経験者。
そういった目線で、ここでは彼ら彼女らに続く有力アスリートを、次世代ともいえる注目選手も含めてピックアップしていこう。

<プロ女子>
・ホリー・ローレンス(イギリス/写真下)
今年のコリンズ・カップ出場組では実績ナンバーワンで、文頭にて紹介しなければならない選手ともいえる。2016年アイアンマン70.3世界選手権優勝、2019年同2位。ラン&バイクの力量感ある走りが印象的で、さらに2019年はアインマン70.3大会出場7レース中で5勝を挙げている。コリンズ・カップ2年連続出場(2022年/18人中5位)、PTOワールドランク10位。

・ポーラ・フィンドレー(カナダ)
2012年ロンドン五輪出場。2018年からミドルディスタンスに本格参戦し、同年にアイアンマン70.3セントジョージ大会(シリーズ戦)優勝の実績あり。どのレース会場でもフレンドリーな雰囲気を振る舞う人気カナディアン・アスリート。コリンズ・カップ2年連続出場(2022年/18人中3位)、PTOワールドランク8位。

・ジャッキー・ヘリング(アメリカ)
2010年前半からロングディスタンスで活躍。70.3世界選手権は今年で4回連続出場となる(最高位は7位)。コリンズ・カップ2022ではチェルシー・ソダーロと同じアメリカチームで出場(18人中13位)で、同レース2年連続出場。PTOワールドランク16位。

・タマラ・ジュエット(カナダ)
メインはミドルディスタンスで活躍するも2020年カナダ選手権(51.5km)で優勝。アイアンマン70.3大会通算2勝。コリンズ・カップ2022では18人中8位に。PTOワールドランク21位。

<プロ男子>
・サム・ロング(アメリカ/写真下)
こちらもコリンズ・カップ出場組では実績上位選手(昨年70.3世界選手権2位)。大型でパワーファイトがレーススタイルの彼は、ラップのリズムで記者会見に登場するエンターテイナー。今年ハワイ出場を回避し、セントジョージ70.3にターゲットを絞っているだけにそのパフォーマンスに注目が集まる。コリンズ・カップ2年連続出場(2022年/18人中4位)、PTOワールドランク8位。

・マグナス・ディトレフ(デンマーク)
195cmの長身から繰り出されるしなやかな走りと攻撃的なバイクフォームが特徴的。今年のアイアンマン・ハワイは8位に終わったものの、バイク途中にトップに立つなどそのポテンシャルは自他とも認める高さ。コリンズ・カップ2022出場(18人中5位)、PTOワールドランク3位。

・ルディ・ヴォンバーグ(アメリカ)
今年、アイアンマン・フランスでレコードタイムをマーク。ハワイでは20位と振るわなかったがバイク終了時までは上位を狙える走りを見せた。コリンズ・カップ2022出場(18人中10位)、PTOワールドランク17位。

・ジェイソン・ウエスト(アメリカ)
2021年からトップランカーの仲間入りを果たし、2022年はアイアンマン70.3で2勝。スマートなルックス&走りが印象的。コリンズ・カップ2022出場(18人中13位)、PTOワールドランク20位。

【プロ女子スタート時間】日本時間10月28日の午後10時30分からスタート
【プロ男子スタート時間】日本時間10月29日の午後10時30分からスタート
【ライブ放映】 “Outside TV” でアカウント登録して視聴が可能

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