【ワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ横浜】エリート・大会フォトギャラリー  〜 Harry’s Shots 2025 〜

大会レポート(国内)

雨、そして後半は強い風が吹き付けるタフなコンディションの中行われたワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ(WTCS)横浜大会のエリート・フォトギャラリー(5月17日開催)。
注目選手のコメント、さらには昨年末、日本代表チームの強化体制が一新され、「オリンピック・ナショナルチーム次世代ヘッドコーチ」に就任した田山寛豪氏のレース担当総括も交えて紹介する。(photos / Akihiko Harimoto)
※写真をタップすると拡大できます

【初めてのWTCS優勝。初めての表彰台】
女子エリート優勝/ジャンヌ・ルエーヌ(ルクセンブルク)

「今回、レースプランは特になかったんです。なぜならこの大会の3週間前にハーフディスタンスのレースに出場していて、この間、まずは回復に務めることを第一にしていたので」とルエーヌ。(タイトル写真も参照)
「でもこれまで4年間、ショートディスタンスをメインにトレーニングしてきたのですが、その積み上げがしっかりと残っていて、それに加えハーフに向けての練習が横浜大会へ良い影響を与えていたようです。
これまで経験のしたことのないような(雨の)激しいコンディションで、しかも今回、サングラスをホテルに忘れてしまって・・(笑)。 前を行くバイクのタイヤが跳ね上げる水が目に入って、コンタクトレンズだったのでとてもつらかったです。

だからバイクではできるだけ集団の前方に位置取るようにしていました。一度後方に下がったとき、本当に『クラッシュして死んじゃうかも』と危険を感じていましたし(笑)。
今回勝てたことで、オリンピックに向けてさらに高い目標が持てるようになりました。今は「本当に(トップに)手が届くかもしれない」と思えています。
フィニッシュのとき、花道で観客がハイタッチを求めてくれていたのにも関わらず、応えることができずにごめんなさい。
(WTCS初の表彰台でもあり初優勝)すぐにでもフィニッシュラインに駆け込みたかったんです(笑)」

【女子19位】高橋侑子(相互物産)
パリ五輪を終え、そのあとの日本選手権で引退すると一度は表明していたが、現役続行を決意。14回目の出場を数えた横浜の今回のレースは19位だった(日本人1位/写真下)。

「雨は選手の走りに影響を与えますが、それよりも何よりも、こんな天候の中たくさんの応援をいただいてそれが本当に力になりました。
課題にしていたスイムは良い感覚が得られたので、これをステップにして次にまた向かっていければと思っています。
バイクは大きくなった集団の中で、動いてくる(積極的に行く)選手がぜんぜんいなかったので、少しもどかしい展開になったのですが、その中でも落車に細心の注意を払い、風が強くなっていく中、集団内の位置取りを考えたりと、自分のやれることはやりました。
今シーズンはまたちょっと違った気持ちでレースに臨むことになると思うですが、とにかく自分がやり切ったと思える所にたどりつくことと、あと、これからの選手たちに自分が何か少しでも伝えられることがあれば。(自分が)選手としてやれるのはもうそれほど長くはないと思うので、この先自分ができることを、とにかく精一杯やっていきたいと考えています」

【 エリート女子・上位リザルト 】
1位 ジャンヌ・ルエール(LUX) 1:51:34
2位 ベス・ポッター(GBR)   1:51:38
3位 リーザ・テルチュ(GER)  1:51:40
19位 高橋侑子(JPN)      1:53:47
>> 総合リザルト ※リンク

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【優勝候補ナンバーワンがミッション完遂】
男子エリート優勝/マシュー・ハウザー(オーストラリア)

昨年、一昨年と連続で2位。今回、その実績なども鑑み優勝候補の最有力とされていたハウザー。ランの最終周にもつれ込んだ三つ巴の接戦を、力でねじ伏せ3度目の正直での載冠だった。

【男子22位】ニナー賢治(NTT東日本・NTT西日本)
オーストラリアで3月23日に開催されたアイアンマン70.3出場後、シーズン前半戦の大一番として横浜大会に臨んだニナー。しかしバイク終了後、走り出してすぐに右脇腹下の筋肉がつってしまったといい、不本意な結果に終わった。

「練習は順調だったので残念です。スイムをトップ集団で上がれなかったのは想定外でした。
ジーロングでのアイアンマン70.3の結果はまあまあ良かったと思いますが(5位)、今回のレースはやはりスピードが全然違います。特にスイム・スタート後の速さですね。あと、バイクは70.3では一定のパワー出力で走り続けますが、オリンピックディスタンスではペースの上げ下げが激しく負荷が高い。ちょっとアジャストできませんでした。このあと検証が必要ですね」

【 エリート男子・上位リザルト 】
1位 マシュー・ハウザー(AUS) 1:41:08
2位 バスコ・ビラサ(POR)   1:41:14
3位 ミゲル・イダルゴ(BRA)  1:41:29
22位 ニナー賢治(JPN)     1:44:40
>> 総合リザルト ※リンク

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【田山寛豪 ナショナルチーム次世代ヘッドコーチ・レース担当総括】
昨年12月、2028年ロサンゼルスおよび2032年ブリスベンのオリンピック・パラリンピックを見据え、ナショナルチームの強化体制が刷新され、その一環として「オリンピック・ナショナルチーム次世代ヘッドコーチ」に就任。
ロサンゼルス大会での結果はもちろんものと、2032年ブリスベン大会でのメダル獲得を確実にすることを目標とする、中長期的ともいえる取り組みのリーダーとしてチームを引っ張っているのが田山寛豪氏(選手時代にオリンピック4度出場。男子トライアスロン過去最高位をマーク/13位)だ。我々ファンが大いに期待する、日本トライアスロン界の歴史を塗り替えていく新たなタレント育成の課程、そして現在地を示すレースの担当総括を紹介する。

「次世代チームとして今掲げてるのは、応援される選手。憧れられる選手。そしてトライアスロンの価値を高め、広められる選手を目指す。この3本に軸を置いてやっています。結果さえ良ければいいというのではなく、みんなが見ていて応援したくなるような選手を育てていく。
そのために選手、指導者が一丸となり、ともにチームジャパンを作り上げていこうと取り組んでいます」
(日本人エリートのトップの顔ぶれは長らく変わっていないですね、という質問に対し)
「やっぱりトライアスロンというのは『速い』だけじゃなく『強さ』、そして『経験値』というのが順位を上げていくために必要な要素になります。そういう面で、(エリートトップの)顔ぶれが変わっていないということは、ベテランの特権という見方もできるんですね。
そんな中、勢いある若手次世代チームがいかに(ベテランたちを)脅かすような存在になっていけるか。それがチームジャパン全体の底上げになると思いますので、そこは『待ってろよ! エリート』っていうところで、若手選手、指導者、一緒になってトップに上がって行ければと思っています」

【 日本人女子・リザルト 】
25位 林愛望(日本福祉大学・まるいち) 1:54:33
29位 中山彩理香(アクサスホールディングス)1:57:06
32位 酒井美有(長野県競技力向上対策本部・まるいち)1:57:34
33位 武中香奈枝(トーシンパートナーズ・チームケンズ)1:57:42
36位 佐藤姫夏(市進ホールディングス)1:59:13
40位 平泉真心(流通経済大学)2:01:09

【 日本人男子・リザルト 】
28位 安松青葉(三井住友海上) 1:45:29
32位 佐藤錬(三井住友海上)1:46:19
36位 吉川恭太郎(三井住友海上)1:47:48
39位 定塚利心(流通経済大学)1:48:47
41位 大島拓人(流通経済大学)1:49:14

>> Harry’s Shots 2025 連載ページ  ※リンク

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