9月10日にフランス・ニースで行われたアイアンマン世界選手権ニース のエキスポで大きな注目を集めていたのが BMCブースだった。
展示されていたのは『Speedmachine(スピードマシーン)』。昨年、一部で報道されたプロトタイプをベースとしたブランニューのトライアスロン&TTバイクだ。(写真をタップするとフルサイズで写真が見られます)
「このプロトタイプ(写真上)はずっと詳細が公開されて来なかったモデルなんだ」。本社スイスから来たPRマネージャーが、目配せして紹介してくれたのが、F1チーム『Red Bull(レッドブル)』とエアロダイナミクス面を中心に開発されたフレーム。
これを元に「ファイナル・プロダクト」として完成車展示されてたのが “Speedmachine(スピードマシーン/写真下)” だ。
プロトタイプのノウハウをふんだんに取り入れ、商品化されるというこのモデルの、一番のポイントは『スタビリティ』だという。
「エアロダイナミクスなど、先端技術のテクノロジーをフィードバックしている中でレッドルがこだわったひとつが『安定性』なんだ。高い安定性能 → 確実な安全性 → 優れた高速走行性能 というのがトータルでの “速さ” につながるという考えだね」(PRマネージャー)
その大きな役割を果たしているのが、ヘッドチューブ下にデザインされた『シャーク・フィン(写真上)』。このエアロパーツが一番風を受けるフロントまわりの空気の乱れを直線的に後ろに流し、整流性とともに、走行時の左右のブレを抑える安定性を高める(この機能がメインになると担当者談)役目を果たすという。
「ほかにもフロント周りには数々のテクノロジーが詰め込められているけど、まだここでは言えないんだよね(笑)」と思わせぶりなPRマネージャー。ただそれらのノウハウも、メインは安定性を担保するための付加機能なのだという。
外見で汲み取れるのは簡素化されたコクピットデザインや、分割され取り付けられているスペーサー。
DHアタッチメントの高さをフレキシブルに調整でき、各自にあったポジションが出しやすい点だろう。それを問うと、
「その通り。トライアスロンではDHポジションをキープしなら走る場面が多い。それを考慮した安全性を高める機能がいろいろ考えられているんだ」とのこと。
「ハイドレーション、ストレージ機能(写真上)に関しても見ての通り。これまで培ってきたノウハウの踏襲というか、走りの安定性、安心感を担保するためのマストアイテムとなっているね。これらはトライアスロンバイクとしてのアタッチメントになるんだけど、バイク自体はUCIの規格にも適合していて、開発目的にはロードレースのTTバイクとしても利用されるようデザインされているんだ」
このトライアスロン&TTバイクの完成車はすでにマックス・ニューマン(昨年のアイアンマン・ハワイ4位)、アリスター・ブラウンリーなど、契約トライアスリートに供給されており、彼らがレースで乗る姿がそのうち見られるだろう。
ちなみにエキスポで用意されていた最新のプロトタイプは、実戦では8月にドイツで開催されたアイアンマン・フランクフルト欧州選手権でダニエラ・ブレイメル(ドイツ)が使用している(写真下)。
そして同ブースには、このスピードマシーンからスピンオフさせた TT専用の進化系バイク『スピードマシーン00』も展示されていた
こちらは、今年のツール・ド・フランスの個人TTステージで投入されたバイクのファイナル・プロダクトになるという。
その全容はニース エキスポ・リポートの続編にてお届けする。