2020年、21年とツール・ド・フランス個人総合連覇、今年のタイトル奪還は難しい状況となったがそれでも総合2位、ステージ2勝を挙げているタデイ・ポガチャル(スロベニア)。
ここでは彼が通常ステージで使用するコルナゴのフラッグシップ・ロードバイク『V4Rs』の注目ポイントをチェックしていこう。(※写真をタップするとフルサイズで見られます)
フレームにはポガチャルのネームとスロベニアの国旗があしらわれている
【170mmのクランク長】
身長176cm、体重66kgのポガチャルは長さ170mmのクランクを使用する。各ライダーにとっての適正クランク長の割り出し方法は万別で、一般的な方程式は存在しないが、今回TDFに出場する選手の中においてポガチャルは標準〜比較的短めの傾向にあるといえそうだ。
たとえば、ツール2連覇をほぼ確定させているヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は身長175cm、体重60kgに対して172.5cmのクランクを使用。すべてを洗い出した訳ではないが、TDF出場の注目選手たちのクランク長は172.5cmが比較的多い印象を現場では受けた。
こちろん、これに加えフロント、リアの使用ギアの組み合わせがパフォーマンスの大きな要素を占めるのだが、ポガチャルのロードバイクでの走りは、他の選手と比べてケイデンス(ペダルの回転数)が高い傾向にあるという見る向きはあって、これはクランク長がひとつの要因となっている可能性も考えられるだろう。
ちなみにポガチャルがベースとしているギアの歯数は、フロントがアウター54T ✕ インナー40T、リアが11T〜34Tの12速(メカニック公表)。これと170mmのクランクが彼のライディングのベストマッチになっているわけだ。
われわれエイジグルーパーが完成車を購入する場合、フレームサイズにもよるが 165~175mmの間のクランク長がセットされているモデルが一般的のようで、それをそのまま利用しているアスリートも多いと推察する。繰り返しになるが、ライダーにとってベストなクランクの長さは個人差があり、さらには個々の脚質や目指す走り方によっても変わってくる。そんな中、世界最高峰のサイクリストが170mmをチョイスしていることを現場で見ることができた。
【タイヤ幅28mmモデルを使用】
ポガチャルのチームが使用するタイヤメーカはコンチネンタルで、メインとしていたのはシリーズ最軽量タイヤである Grand Prix 5000 TT TR の28mm幅モデルだった(メカニック公表)。
また、第16ステージで実施された個人タイムトライアルでもポガチャルは コンチネンタル/Grand Prix 5000 TT TR を使用している。(写真下/タイヤ幅は未確認)
【スペシャルパーツのアッセンブル】
ここからはトップチームならではのスペシャルなパーツを写真で紹介。ポガチャルが所属する UAEチームエミレーツ は今年からメインコンポーネンツにシマノを使用しているのだが、細部にカーボン素材を多用した特別なモデルをアッセンブルしている点も注目を集めていた。
コンポーネンツはシマノDURA-ACE DI2 であるものの、チェーンリングは軽量パーツブランドが開発したカーボンモデル(写真上)、ブレーキ・ディスクローターもカーボンを採り入れた特別パーツをセットしている(写真下)
まだ24歳という若さのポガチャル。26歳のヨナス・ヴィンゲゴー(後方)とのライバル対決は来年も続くだろう(photo:A.S.O./Charly_Lopez)
いずれにせよ、世界最大のサイクルロードレースに投入されるバイク、エキップメントの進化はとどまることはなく、『自転車を速く走らせる』要素は随所に見ることができる。
次回コラムではさらに、トライアスロンにも影響を与えるであろうテーマを紹介していく予定だ。
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