今後のシリーズ展開にも注目の “クラッシュ・マイアミ” / いよいよ世界の2022シーズンがフルスロットル!

大会レポート(海外)

3月11日にアメリカ・フロリダ州マイアミで、本格的なワールド・シーズン突入を告げる “クラッシュ・マイアミ(CLASH Miami)” のプロ・レースが開催された。
2021年は『チャレンジ・マイアミ』の大会名で、コロナ禍で多くのレースが中止になるなか3月に実施。多くのトッププロが参戦し注目を集めていた。その後、チャレンジファミリー(レース)の北米イベントが “クラッシュ・エンデュランス” 名に再ブランドされ、昨年12月のクラッシュ・デイトナ(男子はクリスティアン・ブルンメンフェルトが優勝)に続くシリーズレースとなっている。

舞台はモーターレースで有名なマイアミス・ピードウェイ。距離はサーキット内にある貯水池でのスイム1.7km、続くバイク62.7km&ラン16.9kmはもちろんサーキットコースを周回するミドルカテゴリーだ。

クラッシュ・マイアミは少し短めではあるが、近年ミドルディスタンスの高額賞金レース(クラッシュ・マイアミは総額600万円)が注目され、距離フォーマットと相まって、ショートからロングまでのスペシャリストが一堂に会するトップイベントが各国で誕生。大きなトレンドにもなっている。

10:00AM(日本時刻3月12日午前0:00)にスタートしたプロ女子レースは激しい展開に。その要因のひとつが湿度70%、最高気温が28度を超えるというコンディションだった。
スイムでは、アテネ五輪・平泳ぎ出場実績をもつサラ・ペレスサラ(スペイン)が、後続に約1分の差をつけてトップでフィニッシュ。バイク序盤でも大きなリードを保っていたのだが、視線を下にしたDHポジションのままコース・コーンにぶつかり転倒リタイア。暑さで集中力を保つのが難しかったのか。
これに象徴されるように、ランに入ると数名の選手が脱水症状でレースをストップ。完走率が6割を切るという厳しさだった。

そんなサバイバルレースを制したのが、オーストラリアのアシュリー・ジェントル(写真下)。
バイクでは昨年、ルーシー・チャールズ-バークレーが出したレコードタイム(1:34:49)を上回る1時間33分04秒(平均時速40.45km)をマークし、レースをリード。ライバルたちが苦戦する中、ランでも差を広げトップでフィニッシュした。

男子プロは、女子のレース終了後の13:45PM(日本時刻3月12日午前3:45)にスタート。戦前の予想どおり、2021アイアンマン70.3世界選手権(セントジョージ)2位の実績をもつサム・ロング(アメリカ/写真下)がレースの中心となった。
スイムこそ48人中、32位アップと出遅れたが、バイク62.7kmの距離をなんと平均時速47.5kmで走りきりトップに。ランでは女子レースのコンディション(の悪さ)を計算したかのように、安定したペースを保ち、そのまま押し切った。
フィニッシュタイムは2:39:55。サーキットが舞台とはいえ、世界のトライアスロン界、そしてトップトライアスリートたちの高速化が今シーズンさらに進んでいく印象を強く与えたレースともいえる。

【PRO Women】
1. Ashleigh Gentle (AUS) 2:59:41
2. Pamella Oliveira (BRA) 3:07:50
3. Maja Stage Nielsen (DEN) 3:08:08
4. Samantha Kingsford (NZL) 3:09:08
5. Sonja Catano (USA) 3:16:17
PRO Men】
1. Sam Long (USA) 2:39:55
2. Jason West (USA) 2:41:47
3. Ben Kanute (USA) 2:42:31
4. Youri Keulen (NED) 2:42:51
5. Tyler Butterfield (BER) 2:43:18

男子プロを制したサム・ロング(中央)、2位のジェイソン・ウエスト、3位のベン・カヌー

ちなみにこのクラッシュ・マイアミは初日(3/11)のプロ・レースのあと、一般アスリートを対象とした5kmラン&ウォークを実施。
12日にはスプリント・トライアスロン(S800m/B20km/R5km)、スプリント・デュアスロン(R1.6km /B20km/R5km)とキッズ・トライアスロン、13日にはミドル・トライアスロン(S1.6m/B90km/R21km)とミドル・デュアスロン(R5m/B90km/R21km)が開催される。
まさに一大トライアスロン・フェスティバルだ。

さらには、今回 “クラッシュ・エンデュランス” として新生スタートを切ったシリーズ戦は、今年7月8〜10日にニューヨーク州ウォトキンズ・グレン、11月11〜13日にジョージア州アトランタで新規レースを追加。そして2023年は全7レースにネットワークを拡大する予定だという。
これらの注目トライアスロン・シリーズ&スタンダードの動向は、世界のトッププロたちも視野に入れていることだろう。
>> クラッシュ・エンデュランスのホームページ ※リンク

前週にはアイアンマン70.3ドバイが実施され、男女の優勝者それぞれがハーフアイアンマンの世界記録を更新。この翌週には欧州でアイアンマン70.3ランサローテが予定されており、世界のミドル〜ロングの2022トライアスロンシーズンがいよいよ本格始動する。

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道。2024年9月15日(日)開催を目指し実行委員会が立ち上がる / 日本にフルディスタンスのアイアンマンが帰ってくる!

  2. 2

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  3. 3

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  4. 4

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  5. 5

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  6. 6

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  7. 7

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  8. 8

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道 の2024年9月15日開催が正式にアナウンス / エントリーは12月19日の午前9時よりスタート!

  9. 9

    アイアンマン70.3東三河ジャパン in 渥美半島 が6月10日(土)に開催!/ 世界選手権への道(フィンランド・ラハティ)も日本から!

  10. 10

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【後編】/宮塚英也のトライアスロン“EYE”  〜クリスティアンのトレーニグ改革〜

おすすめ記事 過去の記事
  1. アイアンマン世界選手権2023・ニース大会。そのレースプロフィールに迫る ②

  2. コリンズ・カップは世界トッププロたちの重要ターゲットになり得たか

  3. 【コリンズ・カップ】レースフォト・ダイジェスト②

  4. IMセントジョージ特集 /【動画】で見るトップ選手のレース前ウォーミングアップ

  5. PTOがスイム2km/バイク80km/ラン18kmのワールド・ツアー8大会を発表 / ワールドトライアスロンとパートナーシップ開催へ

  6. アイアンマン70.3世界選手権がフィンランド・ラハティで開催 / 8月26日 13:30 からプロ女子、27日 13:30からプロ男子がスタート(日本時間)

  7. 【コリンズ・カップ】レースフォト・ダイジェスト①

  8. アイアンマン・プロシリーズが4月に開幕。今シーズン、PTOの “T100” レースとの2大シリーズが誕生

  9. アイアンマン世界選手権 Women(ハワイ)のプロ出場者リストが発表 / テイラー・ニブのフルディスタンス初挑戦なるか

  10. 編集日記 〜身体に染みついたもの〜

  1. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 エアロロードという選択肢

  2. 新しい地平を開くコリンズ・カップ。賞金総額1億6千万円のレースが開催

  3. 躍進するシマノ。今年のツール・ド・フランスにも注目

  4. 【動画】チーム&クラブ訪問/Team BRAVE 編(兵庫)

  5. コリンズ・カップはトライアスロンの新たな歴史を刻んだか?

  6. 東京五輪のコロナ対策でフォーカスすべき “Bubble (バブル)” とは?

  7. ツール・ド・フランス2021に見る東京五輪を走るバイク② 〜ドリアン・コニン編〜

  8. ツール・ド・フランス 2021に見る東京五輪を走るバイク③ 〜アレックス・イー編〜

  9. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 ブレーキシステムのトレンドを追う

  10. グスタフ・イデンとアシュリー・ジェントルがツアー開幕戦を勝利 / PTOカナディアン・オープンが開催

TOP