【 TDF特集 】タデイ・ポガチャルが駆る先鋭エアロロード、“コルナゴ / Y1Rs ” 現地リポート

TDF for Triathlete

7月5日から始まったツール・ド・フランス(TDF)で、すでにステージ2勝(現在8ステージ中)。全21ステージある序盤からアクセルを緩めることなく自身4度目となる個人総合優勝を目指し、プロトンの中心を担っているのがタデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ・XRG)だ。

ひとたび彼がスロットルを全開にすると、並み居るライバルたちは付いていくのがやっと。それがフィニッシュ前になるともう太刀打ちできない、といった勝ち方で、今後も彼の勢いを止めることが容易ではないことを予想させるパフォーマンスを披露し続けている。

そのポガチャルが、ここまでのステージ前半で積極的に使用してきているのが コルナゴの新型エアロモデル “ Y1Rs ” だ(写真下)。

コルナゴのレーシング・ロードモデルとして、ここまでエアロ性能に特化したのは Y1Rs が初めてだろう。

現行フラッグシップモデルのひとつとなる V5Rs はオールラウンド性能を重視し、「エアロダイナミクス」「軽量性」「剛性」を高い次元で融合。あらゆる地形で優れた性能を発揮するモノコックフレームは、コルナゴ史上最軽量となっている(写真下)。

今春に登場し、UAEチームエミレーツ・XRG のさらなる躍進を支えている コルナゴ V5Rs。今年のTDFでは、ステージ中盤からの山岳コースで活躍することになるだろう

全く新しいデザインのエアロロード
上記ふたつの写真を見比べてもらえば瞭然といえるが、Y1Rs はこれまでのコルナゴのイメージを覆すような先鋭的フレームデザインに仕上げられている。

ホイールに沿って湾曲するダウンチューブ形状は、コルナゴとミラノ工科大学の共同研究によるもので、CFD(数値流体力学)導入により空気抵抗を最小限に抑える形状を導きだしているという。(写真下)

また新しいステム一体型ハンドルバーは、中央部分での空気の流れが分離しないよう V字型を採用。ハンドルバーとスペーサーを一体化することでもエアロダイナミクス向上を狙っている(写真下)。

加えて、今春発表された V5Rs の前モデルとなる V4Rs と比べると、フロントフォークの長さが延長され、かつ前から見た幅が極めて狭い形状にデザイン。

さらに目に付くのがシートポストまわりのユニークな形状だ。

通常の直線的なシートチューブ接合とは異なり、シートポストが独立。そしてシートチューブ、シートステーそれぞれも特徴的なバランスで組み合わさっている。

この形状は、垂直方向の追従性を生み出し、ロードバイク全体の剛性を維持しながらも乗り心地向上の役割を担ったもの。
さらには、後輪に沿って湾曲したシートチューブは、正面から見ると左右に「Y字型に分かれる」ようなデザイン設計に。
これらにより 前V4Rsモデルと比較して前面投影面積を約19%も削減し、50 km/h で1時間走行時に20ワットのパワーセーブを実現しているという。

チームと開発した先進エアロホイール
そして、この Y1Rs・エアロドードバイクの先鋭性の仕上げとなるのが足回りの要、『ENVE(エンヴィ)』の新型ホイールだ。

UAEチームエミレーツ・XRG は2年前から、精密さと革新性を追求するアメリカ発・カーボンコンポーネントの新興ブランド「ENVE」を採用。その間、共同で開発も続けている。
そんな中、タデイ・ポガチャルのインプレッションやアドバイスなども取り入れ、誕生したのがこの『SES 4.5 PRO』。軽量性、エアロ性能、そして剛性を突き詰め、同社最高グレードとしてリリース。TDFで実戦投入してきたわけだ。

ポガチャルのバイクのフレームやホイールには随所に “アルカンシェル(虹)” カラーがペイント。これは UCI世界選手権・個人ロードレース・チャンピオンの証だ

これらを取り入れた「ツールで勝つためのバイク」は、まさに最先端テクノロジーを融合したエアロロードバイクの、新たな方向性を指し示していることは間違いない。

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