トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 エアロロードという選択肢

プロダクト

ツール・ド・フランス(TDF)から見るトライアスロン的バイクを考察してみる。現在ので各チームが使用しているバイクの特徴のひとつに、フレームがより扁平型にデザインされ、さらなる空気抵抗の削減を狙ったいわゆる「エアロロードバイク(以下、エアロバイク)」をほとんどのチームが投入している点が挙げられる。

photo:Makoto AYANO

この「空気抵抗の削減」はトライアスリートの命題でもあるが、ツール・ド・フランスを走るバイクを見てみると以下の3つに大きく分類できる。
(1)平坦基調のステージをメインとした前述のエアロバイク
(2)山岳コースはもちろん平地のコースまでカバーするベーシックなフレーム形状の軽量ロードバイク
(3)タイムトライアル(TT)バイク(乱暴だがここではトライスロンバイクと同義とさせてもらう)
である。各チームは主にステージの特性によってこれらの2〜3タイプのバイクを使い分けているが、昨年は出場全22チーム中、実に18チームが上記3種類のモデルを導入。つまり合計18チームがエアロバイクをラインアップさせていたこととなる。

このエアロバイクの特性を説明するために最も適しているチームといえるのが、トライアスリートにも人気のサーヴェロを使用するチーム・サンウエブだ。昨年は豊富なモデルラインアップの中から、TTバイク(P5)、エアロバイク(S5)、ベーシックなロードバイク(R5)の3種類を投入。今年はまだ第2ステージを終えたばかりなので、その全容は定かではないが(個人タイムトライアルは第20ステージのみ)、エアロバイク(S5)、ロードバイク(R5)がすでにお披露目されており、TTバイクでもまず間違いなくモデル変更はないといえる。
このように使い分ける理由を昨年、メカニックのピム・ヘームスケルクさんに聞いてみた。

チーム・サンウェブのメカニックを勤めるヘームスケルクさん

「各選手の特性に合うようヒルクライム用バイクと、年々高速化するレースに対応するためにエアロバイクとを使い分けている。クライマー用のロードバイクはパーツも含め徹底的に軽く、そしてオールラウンダーとスプリンターには『より速く、より強く』を目指し空気抵抗に優れたエアロバイクを通常ステージでチョイス。そしてタイムトライアル・ステージではTTバイクという組み合わせだね」
このエアロバイク「S5」は、他チームが用いるモデルの中でもデザインが際立っている。シートチューブのみならずダウンチューブをもタイヤの形状に沿った湾曲部分がデザインされ、フレーム断面の扁平化も向上。ヘッドまわり前面をフルカバーするフロントフォーク、さらにはステムとハンドルを一体化。そしてケーブル類をすべてフレームに内蔵化させるなど、エアロダイナミクスを徹底的に追求した形といえるだろう。

2020年のツール・ド・フランスはさらにエアロバイク率が高まると予想される

「エアロダイナミクスの追求」は、単独走行が前提となるトライアスリートにとっては、言うまでも無く大きな武器になる。
もちろんレースの使用環境にもよるが、走行中、空気抵抗の削減性能を最大限に引き出だすために設計されたのがトライスロンバイクだ。一方で近年、各メーカーが輩出しているエアロバイクの進化は目を見張るものがある。
この世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランスのバイクトレンドは、今後バイクをチョイスするときの指針として、ぜひ知っておきたいところだ。

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    国内大会からまたハワイへの道が開かれる日が!2023年日本でアイアンマン開催実現に期待しよう!

  2. 2

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  3. 3

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  4. 4

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  5. 5

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  6. 6

    世界のアイアンマン・2021シーズンの今

  7. 7

    九十九里トライアスロン2021【動画リポート】

  8. 8

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  9. 9

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  10. 10

    ブルンメンフェルトが利用する最先端ウエアラブル・センサー “CORE” 次世代トレーニング・アイテムに注目

おすすめ記事 過去の記事
  1. トライアスリートのためのTDF / ヨナス・ヴィンゲゴーのマイヨジョーヌ獲得をアシストしたサーヴェロ・新型 S5

  2. IMセントジョージ特集 / 宮塚英也のトライアスロン“EYE” 『今週末のアイアンマン世界選手権の注目点はここだ』

  3. 宮塚英也のトライアスロン“EYE”/ ますます高速化するアイアンマン。最速ライディングフォーム&走りを解析する

  4. トライアスリートのためのTDF【TTバイク・番外編】スタート前のレースパドックをチェック

  5. 【BOULDER】オープンウォータースイムゴーグル 〜レースに特化したデザインが魅力〜

  6. 【動画特集】練習パフォーマンスを高める 簡単&速効ストレッチ

  7. IMセントジョージ特集 / 注目選手⑤ 【動画】で見るキャメロン・ワーフ & ピナレロ・BOLIDE TR +

  8. ヤーン・フロデノがフルディスタンスの世界記録を更新 〜ZWIFT トライ バトル ロワイヤル〜

  9. 《Hawaii 特集》チェルシー・ソダーロ / アメリカン・ニューヒロイン誕生の瞬間 〜アイアンマン・ハワイ女子プロレースレポート〜

  10. IMセントジョージ特集 / 注目選手&決戦バイク② 〜セバスチャン・キーンレ & スコット・PLASMA 6 編〜

  1. 躍進するシマノ。今年のツール・ド・フランスにも注目

  2. 【動画】チーム&クラブ訪問/Team BRAVE 編(兵庫)

  3. 2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  4. 自転車大国フランスではトライアスロンももちろん人気

  5. グスタフ・イデンとアシュリー・ジェントルがツアー開幕戦を勝利 / PTOカナディアン・オープンが開催

  6. ツール・ド・フランス2021特集 レースを支える応援者は“もうひとりの主役”

  7. ツール・ド・フランス2021特集 2年目の『バブル』を迎える世界最大の自転車レース

  8. ツール・ド・フランス2021に見る東京五輪を走るバイク② 〜ドリアン・コニン編〜

  9. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 エアロロードという選択肢

  10. 新しい地平を開くコリンズ・カップ。賞金総額1億6千万円のレースが開催

TOP