フランス・ニースで開催されたアイアンマン世界選手権で見られたアイテムの中では、欧州発信の先端トライスーツもレースシーンを席巻しそうな勢いだった。
そこで注目されたメーカー&プロダクトを、大会エキスポ現場の声とあわせてお届けしよう。(※写真をタップするとフルサイズで見られます)
【 surpas(サーパス/写真上)】
クロスカントリーやロゲイニングなど、幅広いアウトドアスポーツのウエアを展開しているノルウェーのスポーツアパレルメーカー「TRIMTEX」。日本ではクリスティアン・ブルンメンフェルトなどが使用していたことで知られているエウアだ。
「 “サーパス” はその TRIMTEX がトライアスロン専用ブランドとして新たに立ち上げたメーカーで、今年からノルウェーチームなどに供給しています(写真上)。TRIMTEX ブランドでの機能アドバンテージを引き継ぎつつ、さらに競技に特化したデザインに仕上げられているんです」とはサーパスのPRマネージャー。
今回、ニース世界選手権でも多くのアスリートが使用していた。
エキスポ・ブース展示のデザインを見るとフロントのベンチレーション調節(ジップの上げ下げ)時の快適性や、着圧性など細かいところまで機能を網羅したつくりが目立つ。
さらには、肩まわり装備されたドット型のパーツ。これは “タービュレーター機能” と名付られ、バイクライド時に肩に受ける風を利用して抵抗の削減を狙ったもの。同じ機能をもったゲイターも市販されており目的、用途にあわせてアッセンブルできる。
メーカは今後エイジはもちろん、さらにエリートレースにも注力していくという。
今回10位に入ったクレメン・ミニョン(フランス)。今年6月のアイアンマン・フランスを制し上位入賞候補だったひとりもサーパスを着用
【 ekoi(エコイ)】
2001年にフランスで誕生した新興サイクル用品メーカーの ekoi(エコイ)。ヘルメットやアイウエアが有名だが、ヨーロッパではトライスーツもラインアップしている。
エキスポ・ブースでは、2022年アイアンマン・フランスのチャンピオンで、今回のニース世界選手権でも4位に入ったルディ・フォンバーグ(アメリカ/写真上)が使用したモデルを展示。
ヘルメット&バイザーとのセットアップでアイアンマン色を全面に打ち出したディスプレイでも注目を集めていた。
特徴的な機能はふたつ。
ひとつは熱を広範囲に分散させる機能で、体温を下げる狙いを担う生地素材の採用。そして、肩と上腕部にエアロダイナミクス性能を追求したパネル素材を採用している点だ(写真下)。
メーカ担当者によると、「まだまだこれからのプロダクトだけど今後マーケットの規模を広げていく予定。日本でも展開していきたいですね」とのこと。
【 castelli(カステリ)】
1876年創業。イタリアの老舗サイクルウェアメーカーで、多くのプロサイクリストに最高のウエア・パフォーマンスを提供してきたカステリにもトライアスロンウエアがラインアップしている。
ニースで使用していたトップ選手といえば キャメロン・ワーフ(オーストラリア/写真下)。世界トップのプロサイクリングチーム “イネオス・グレナディアーズ” に所属するアスリートである。
2019年ツール・ド・フランス個人総合優勝のエガン・ベルナル、同2018年優勝のゲラント・トーマスなど数多くのタレントを擁するイネオス・グレナディアーズ。
先日行われたブエルタ・ア・エスパーニャの個人タイムトライアルでは、同チーム所属のフィリッポ・ガンナ(イタリア/写真下)が圧勝してる。
ワーフが2018年アイアンマン世界選手権で4時間09分06秒のバイク・レコードタイム(当時)を叩き出しときも、カステリ(ウエア)+ピナレロ(バイク)のコンビネーションだった。
ちなみに彼はその前年のハワイでバイク4時間12分54秒をマーク。これまで長年破られていなかったノーマン・スタドラー(ドイツ)のバイクレコードを11年ぶりに上回り、注目の世界デビューを果たしている。
カステリ・トライスーツは、サイクルロードレースで培われてきた素材の軽さと空力特性に加え、トライアスロン用に改良されたシートパッド、運動中の湿度を逃してクーリング効果を促す機能など、タイムを削り出すためデザインされたレースウエアとなっている。
【 ZONE3(ゾーン3)】
2006年にイギリスで設立された ゾーン3。トライアスロンウエア、ウエットスーツなどの高機能ウエア&スイムギア、アクセサリーなどを展開するスポーツプロダクトメーカーとして知られている。
ブース展示されていたトライスーツは、複数の素材を立体的、しかもシームレスに形どられたデザインが特徴。エアロ効果、水抜き機能、撥水性などさまざまな機能性素材を組み合わせ仕上げられている。
「一着、一着マニファクチュア(工場制手工業)製作していてほかにない逸品といえるね。ZONE3 のサイクルウエアはツール・ド・フランスに出場するワールド・チームも使用しているんだよ(担当者)」とのこと。
複数の素材をシームレスに仕上げ製鞄は芸術の域ともいえる