ツール・ド・フランス2021特集 バイクシェア1位。キャニオンの新モデルに注目 <キャニオン/エアロードCFR Disc>

TDF for Triathlete

 サーヴェロと並びトライアスロンバイクでも注目度が高いキャニオンが今年、新たなエアロロードバイクをリリース。それが「エアロード(AEROAD)CFR」だ。.ちょっとややこしいがエアロロードのエアロード。この「エアロ」がつくバイクはオリンピックディスタンス(51.5km)はもちろん、ロングのトライスロンにもその能力適正が高い。
 今年のツール・ド・フランスでは、モビスター チーム、アルペシン・フェニックス、アルケア・サムシックの3チームがキャニオンのバイクを採用しており、シェアとしてはナンバーワンとなる。(スペシャライズドとウィリエール、そしてBMCが各2チーム使用)
 このエアロードCFRは、F1の元エンジニアが創設した「スイスサイド社」と協業し、最先端の風洞実験やコンピュターでの流体解析を経て生み出されたフレーム設計だという。具体的には「エアロコクピット」と名付けられたステム一体型のハンドルやすべてのケーブル類の内装化。縦断面が極細のシートポスト、そしてそれを受けるシートチューブが後輪の輪郭に沿ってシェイプされるなど、空気抵抗削減のためのノウハウがこれでもかと詰め込まれている。
 ちなみにスイスサイド社は、アイアンマン・ハワイ優勝の経歴をもつパトリック・ランゲ(ドイツ)を2019年から本格的に技術サポートしていることでも知られている。ランゲは「空力開発のため、オーストリア・ザルツブルクのサーキットコースでテスト走行もしている。そこで出たデータをもとにポジションの改善にも取り組んでいるんだ」と、2019年の取材で答えてくれたこともあった。そう、トライスロンモデルのスピードマックスも同様のノウハウが組み込まれているのだ。
 さて、今回のツール出場の3チームのバイクの特徴を見ると、コンポーネンツなど、細部にわたり異なっている点があるので写真を中心に紹介していこう。
 まず、現在マイヨジョーヌを着てレースの主役を演じている今年の台風の目、マチュー・ファンデルプールを擁するアルペシン・フェニックス。

ファンデルプールは第2ステージから現時点の第4ステージまでマイヨジョーヌを着続けている(写真上段)/第1ステージのスタート前の光景。チームエースのファンデルプールのバイクはブルーの特別カラーリングが施されていた(写真下段)

 コンポーネンツはシマノがメインで基本的にはオーソドックスなスタイルといえる。ホイールもシマノのデュラエース。ただ、ファンデルプールのスペアバイクのひとつにリザーブ製と思われるカーボンディープリムがセットされている点を注目したい。このリザーブのホイールは、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィズマ)が今回使っているものと同じで興味深いところだ。

ライバルのひとり、ログリッチと同じリザーブ製と思われるホイールをスペアバイクにセット。リムハイトも同じく50mmだ(写真左)/第2ステージからファンデルプールのバイクはマイヨジョーヌ仕様に変わっている(右)

 続いてモビスター チーム。
 こちらはメインコンポにスラムを使用している点が他の2チームとの大きな違い。変速システムはもちろんeTap。リア12速でギアレシオのバリエーションを増やせるのは魅力だ。ホイールにジップの組み合わせでアメリカンブランドで足まわりを高めている。

ビスター チームはコンポーネンツ、ホイールのチョイスで他の2チームと差別化できる

 最後のアルケア・サムシックもアルペシン・フェニックスと同じくシマノ・コンポーネンツを使用。こちらもべーシンクなアッセンブルだが、クライマーで名をはせるベテランのナイロ・キンタナ(コロンビア)だけが黒のフレーム色で差別化されているのが目についた(写真下段)。

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    国内大会からまたハワイへの道が開かれる日が!2023年日本でアイアンマン開催実現に期待しよう!

  2. 2

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道。2024年9月15日(日)開催を目指し実行委員会が立ち上がる / 日本にフルディスタンスのアイアンマンが帰ってくる!

  3. 3

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  4. 4

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  5. 5

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  6. 6

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  7. 7

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  8. 8

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  9. 9

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道 の2024年9月15日開催が正式にアナウンス / エントリーは12月19日の午前9時よりスタート!

  10. 10

    アイアンマン70.3東三河ジャパン in 渥美半島 が6月10日(土)に開催!/ 世界選手権への道(フィンランド・ラハティ)も日本から!

おすすめ記事 過去の記事
  1. 〜 IMセントジョージ・大会レポート① 〜 勝者の風格

  2. アイアンマン70.3東三河ジャパン in 渥美半島 が6月10日(土)に開催!/ 世界選手権への道(フィンランド・ラハティ)も日本から!

  3. トレック/新型 Speed Concept ディスク化だけではない注目のファストバイク

  4. アイアンマン70.3世界選手権がフィンランド・ラハティで開催 / 8月26日 13:30 からプロ女子、27日 13:30からプロ男子がスタート(日本時間)

  5. トライアスリートのためのTDF【TTバイク編①】 ファクター・HANZO / フルームが魅せる新型TTモデル

  6. 【Harry’s Shots】 全日本トライアスロン宮古島大会

  7. 【ミヤヅカの提言】理想的フォーマットだった今年の宮古島大会 / “宮塚英也のトライアスロン EYE”

  8. アイアンマン・セントジョージ特集 /3年ぶりの王座を獲得するのは誰か? 出場者リストが発表

  9. ブルンメンフェルトがアイアンマン70.3世界選手権に出場 / ノーウィージェン・デュオの熱戦再び

  10. 【 動画レースダイジェスト】アイアンマン世界選手権ハワイ

  1. 躍進するシマノ。今年のツール・ド・フランスにも注目

  2. 東京五輪のコロナ対策でフォーカスすべき “Bubble (バブル)” とは?

  3. ツール・ド・フランス 2021に見る東京五輪を走るバイク③ 〜アレックス・イー編〜

  4. 【動画】チーム&クラブ訪問/Team BRAVE 編(兵庫)

  5. グスタフ・イデンとアシュリー・ジェントルがツアー開幕戦を勝利 / PTOカナディアン・オープンが開催

  6. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 エアロロードという選択肢

  7. 2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  8. コリンズ・カップはトライアスロンの新たな歴史を刻んだか?

  9. ツール・ド・フランス2021特集 2年目の『バブル』を迎える世界最大の自転車レース

  10. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 ブレーキシステムのトレンドを追う

TOP