サーヴェロと並びトライアスロンバイクでも注目度が高いキャニオンが今年、新たなエアロロードバイクをリリース。それが「エアロード(AEROAD)CFR」だ。.ちょっとややこしいがエアロロードのエアロード。この「エアロ」がつくバイクはオリンピックディスタンス(51.5km)はもちろん、ロングのトライスロンにもその能力適正が高い。
今年のツール・ド・フランスでは、モビスター チーム、アルペシン・フェニックス、アルケア・サムシックの3チームがキャニオンのバイクを採用しており、シェアとしてはナンバーワンとなる。(スペシャライズドとウィリエール、そしてBMCが各2チーム使用)
このエアロードCFRは、F1の元エンジニアが創設した「スイスサイド社」と協業し、最先端の風洞実験やコンピュターでの流体解析を経て生み出されたフレーム設計だという。具体的には「エアロコクピット」と名付けられたステム一体型のハンドルやすべてのケーブル類の内装化。縦断面が極細のシートポスト、そしてそれを受けるシートチューブが後輪の輪郭に沿ってシェイプされるなど、空気抵抗削減のためのノウハウがこれでもかと詰め込まれている。
ちなみにスイスサイド社は、アイアンマン・ハワイ優勝の経歴をもつパトリック・ランゲ(ドイツ)を2019年から本格的に技術サポートしていることでも知られている。ランゲは「空力開発のため、オーストリア・ザルツブルクのサーキットコースでテスト走行もしている。そこで出たデータをもとにポジションの改善にも取り組んでいるんだ」と、2019年の取材で答えてくれたこともあった。そう、トライスロンモデルのスピードマックスも同様のノウハウが組み込まれているのだ。
さて、今回のツール出場の3チームのバイクの特徴を見ると、コンポーネンツなど、細部にわたり異なっている点があるので写真を中心に紹介していこう。
まず、現在マイヨジョーヌを着てレースの主役を演じている今年の台風の目、マチュー・ファンデルプールを擁するアルペシン・フェニックス。
ファンデルプールは第2ステージから現時点の第4ステージまでマイヨジョーヌを着続けている(写真上段)/第1ステージのスタート前の光景。チームエースのファンデルプールのバイクはブルーの特別カラーリングが施されていた(写真下段)
コンポーネンツはシマノがメインで基本的にはオーソドックスなスタイルといえる。ホイールもシマノのデュラエース。ただ、ファンデルプールのスペアバイクのひとつにリザーブ製と思われるカーボンディープリムがセットされている点を注目したい。このリザーブのホイールは、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィズマ)が今回使っているものと同じで興味深いところだ。
ライバルのひとり、ログリッチと同じリザーブ製と思われるホイールをスペアバイクにセット。リムハイトも同じく50mmだ(写真左)/第2ステージからファンデルプールのバイクはマイヨジョーヌ仕様に変わっている(右)
続いてモビスター チーム。
こちらはメインコンポにスラムを使用している点が他の2チームとの大きな違い。変速システムはもちろんeTap。リア12速でギアレシオのバリエーションを増やせるのは魅力だ。ホイールにジップの組み合わせでアメリカンブランドで足まわりを高めている。
ビスター チームはコンポーネンツ、ホイールのチョイスで他の2チームと差別化できる
最後のアルケア・サムシックもアルペシン・フェニックスと同じくシマノ・コンポーネンツを使用。こちらもべーシンクなアッセンブルだが、クライマーで名をはせるベテランのナイロ・キンタナ(コロンビア)だけが黒のフレーム色で差別化されているのが目についた(写真下段)。
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