ついにパリ五輪が始まった。注目のトライアスロンは7月30日に男子レース、31日に女子レースが実施。選りすぐられた各国の代表が、超人的スピードでしのぎを削り合うレースの見せ場のひとつがバイクパートだろう。個々のパフォーマンスを最大限に生かすため究極のバイクを駆り疾走する。
一方、オリンピック開幕の1週間前に終了したたツール・ド・フランス(TDF)を見てみると、今回の五輪に出場するトライアスリートと同じメーカー・モデルを使用しているサイクリングチームは多い。それらはどのようなスペックで投入されているのだろうか? バイクの特性とともに、TDF現地でキャッチした最前線の情報をリポートする。
今回は東京オリンピック2020・トライアスロン男子覇者、クリスティアン・ブルメンフェルトのバイク・ジャイアント/ PROPEL ADVANCED SL をテーマに紹介しよう。
クリスティアン・ブルンメンフェルト(ノルウェー)
【使用バイク】ジャイアント/ PROPEL ADVANCED SL
言わずとしれた東京オリンピック覇者、そしてアイアンマン世界選手権&70.3世界選手権チャンピオンという「トリプルクラウン」を達成しているアスリート、クリスティアン・ブルンメンフェルト。
彼がこの プロペル ADVANCED SL を実戦投入したのが2022年のTDF終了後。五輪チャンピオンの証として GIANT のロゴとトップチューブまわりのラインなどがゴールドにペイントされたスペシャルモデルで注目を集めていた。パリではニューデザインとなった愛車で連覇を狙うようだ。
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《ツール・ド・フランスで使用するチーム》
ジェイコ・アルウラー(オーストラリア)
一昨年、プロペル(ジェイコ・アルウラー)はTDFでステージ2勝を挙げている。それぞれのコースプロフィールは「フラット基調」と厳しい起伏を含んだ「マウンテン」という異なるタイプのレイアウトだった。
ここに プロペル ADVANCED SL の優位性を見ることができ、この世界最高峰の自転車レースに投入されるバイク仕様にも、トライアスリートが注目すべきポイントは多い。
つまりは “エアロ” と “軽量性”、さらに “剛性”。このバランスを高い次元で融合させた走行性能を発揮できるモデルといえるからだ。
プロペルのフレーム形状は、ここ数年で変化してきたエアロロードの潮流に沿った洗練されたものだ。
具体的に見ると、走行時に前から風を受けるダウンチューブの前面は、抵抗を軽減するためにシェイプされた形状に。そして後部は軽量化を狙って大胆に平面カットされた特徴的なデザインとなっている(写真下)。
トップチューブはこれもエアロ効果&軽量化を狙い横に扁平加工されたシェイプで、シートステー&チェーンステー(フレームの後ろ三角を形成するチューブ)は十分な強度を得ながらも、かなり細身にデザインされている。
またシートチューブの後面も大胆に平面カットされた形状に仕上げられているのが見て分かるだろう。
ヘッドチューブはあえてボリュームのある形状に仕上げ剛性を高めつつ、後方にかけてはエアロシェイプされたデザインに。このあたりはジャイアント社が誇る空力特性の分析力からはじき出されたカタチといえるだろう。
【カデックス/カーボンエアロホイールを使用】
ジャイアントのプレミアム・パーツブランドである CADEX(カデックス)。素材、デザイン、そして何よりもエアロ性能を突き詰めたホイールはリム部分はもちろんスポークまでカーボン製。さらにホイール回転時の風斬り抵抗を考慮し、スポークがブレード(平べったい)形状にシェイプされている。
チーム ジェイコ・アルウラー が通常ステージ使用するのはもちろん最高峰モデルの CADEX ULTRA ホイール。リムハイトはトータルバランスを考慮して50mm高のホイールを基本とし、各ステージの特性や個人の好みに合わせてアッセンブルしていた。
【エアロボトル&ボトルケージ】
プロペル ADVANCED には専用のエアロボトルに、そのボトルをしっかりとマウントするホルダーが装備されている。もちろんノーマル形状のボトルも利用可能で、あらゆるレースシーンやコンディションにあわせて走りに集中できるだろう。
【使用タイヤ幅サイズは30mm】
近年のロードレース界の使用タイヤ幅拡大の波に沿うように、同チームも通常ステージではタイヤ幅サイズ30mmのチューブレスタイヤを常用。
プロペル ADVANCED SL の対応性はその潮流を早い段階で具現化していたこととなる。
【2025年モデルが発表】
今年のツールの開催期間中に、登場から2年が過ぎた プロペル ADVANCED の2025年先行モデルが発表された。
主なポイントはふたつ。
フレームデザインの細部をブラッシュアップしてエアロ、軽量、剛性それぞれの性能の向上と、足回り(ホイール)のバージョンアップ。これにより、プロペルは次世代モデルへの歴史をまた刻み始めている。
ブルンメンフェルトをはじめとするジャイアント・ユーザーの走りにもさらに注目が集まることとなるだろう。
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