2023年に CANYON へスイッチしたアスリートたち / 昨シーズンを沸かした選手の走りに注目

プロダクト

写真は3月5日のアイアンマン南アフリカで優勝しているローラ・フィリップ(ドイツ)。彼女は以前からキャニオンにサポートを受けているアスリートのひとりで、昨年は同バイクでアイアンマンの女子世界レコード(8:18:20)も打ち立てている

サム・レイドロー、チェルシー・ソダーロ、カット・マシューズ、ヘイデン・ワイルド……。
2022年トライアスロン・シーンを華やかに彩ったロング&ショートのアスリートが、今年から新たにキャニオンのバイクを駆ることになり注目を集めている。年が明けてから、次々と自身のSNSなどでスポンサードを公表しており、すでにレースでお披露目しているアスリートもいるようだ。

まず、早々にニューバイクを発表したのがサム・レイドロー(フランス)。いわずもがな、2022年アイアンマン選手権(ハワイ)で初出場ながら2位を獲得した注目株だ。
このとき叩き出したバイクラップは4時間04分36秒(距離180km)。これまでのレコードタイムより4分以上も速く、永劫に破られないのではというほどの衝撃的パフォーマンスが記憶に新しい。このフライング・フレンチの走りを Speedmax CFR がどう進化させるのか期待は大きく膨らむところだ。
>> サム・レイドローのインスタグラム ※リンク

続くは、同じく2022年ハワイに初出場し、逆転劇で一気にスターダムを駆け上がった チェルシー・ソダーロ(アメリカ)。昨年まで所属していたチームからの活動変更とあわせて新たなサポート体制を発表している。
>> チェルシー・ソダーロのインスタグラム

そしてソダーロと同じくチームから離れることとなった カット・マシューズ(イギリス)
なんとプロ活動3年目にして、2022年5月にアメリカ・ユタ州セントジョージで行われた アイアンマン世界選手権 で2位に。同6月の フェニックスSUB7&SUB8 プロジェクト(ドイツ・ドレスデン)で、バイク集団走のドラフティングOKといった特別ルールで行われた中、7時間31分54秒という女性史上初のフルディスタンス(S3.8km / B180km / R42.2km)8時間切りを達成している。
昨年10月のハワイのレース直前、バイクトレーニング中の事故で大ケガを負うという不運を克服して臨む新シーズンに応援と期待が集まる状況だ。
>> カタリーナ・マシューズのインスタグラム

スタンダード(オリンピック)ディスタンスのフィールドでは、東京五輪銅メダル、現在ワールドトライアスロン・ランキング男子3位のヘイデン・ワイルド(ニュージーランド)が、新たにキャニオンを駆る。彼は昨年、ミドルディスタンスの コリンズ・カップ にトライアスロンバイクで参戦もしており、すでに Speedmax のテストも行っているようだ。

ドラフティングレースが中心となるショードディスタンスの世界では、いわゆるロードバイクが利用されるわけだが、トッププロの使用率でいうと現状キャニオンのシェアは高くなく、ロングディスタンスと比べると注目度は低いといえる。
そんな中、2024年のパリを見据えるワイルドのパフォーマンスが、バイク勢力図に変化をもたらすのだろうか。さらには、欧州での活動も多いのであろうが、南半球出身のトップアスリートがキャニオンをチョイスしたという点も特筆すべき事象といえる。
>> ヘイデン・ワイルドのインスタグラム

ロード界で注目を集めるキャニオン
ここで「ロングディスタンスと比べて注目度が低い」と記したのは、サイクルロードレース界の状況を鑑みての対比表現でもある。
ドイツ・コブレンツ発の新興バイクメーカーは現在、ヨーロッパを中心としたプロ・ロードレース界で存在感を放つといっても過言ではない。
たとえば世界最高峰のサイクルロードレース、ツール・ド・フランス(TDF)の2022年を見てみると、参加全22チーム中、キャニオンを採用していたのが3チーム。これはスペシャライズと並びTDFのバイク使用シェアとしては最多で、注目ライダーも多くラインアップしている。

その代表格がオランダのマチュー・ファンデルプールだ(写真はTDF2021のときのもの)。
ロードレースで幾多の欧州クラシックレース・タイトルを獲得し、マウンテンバイクでも過去にヨーロッパ選手権で優勝経験をもつファンデルプール(東京五輪にも出場)。今年2月に行われたシクロクロスのワールドチャンピオンシップを征し、同世界選手権5勝目を挙げた三刀流・スパーサイクリストだ。

このように欧州のサイクルロードレース界で主役の一翼を成せるメーカーということは、すなわちポテンシャルの高さが評価されている証左ともいえ、そのプロダクツ発信は自ずと注目を集めることになるだろう。

いよいよ本格始動した2023トライアスロン・シーンだが、こういった機材面にも注目しつつ、シーズンを追ってみるのも面白いのではないだろうか。

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