今年の最終ステージ、個人TTでモナコの街を疾走する
ワウト・ファンアールト(ベルギー)
昨年シーズン、ジロ、ツール、ブエルタの3大グランツールを制したヴィスマ・リースアバイク(オランダ)。この世界トップサイクリングチームが2021年から使用しているバイクがサーヴェロで、TTステージではもちろんP5が投入されている。
また2021年には、当時のチームに所属していたプロモシュ・ログリッチ(スロベニア)が東京オリンピックの男子ロード個人タイムトライアルで優勝。実は、2位にもログリッチのチームメイト、トム・デュムラン(オランダ)が入っており、P5は前回の五輪ワン・ツーを飾っているのである。
そのファストTTバイクがついにモデルチェンジ(写真上)。今回のツール・ド・フランスで同チームが実戦投入しており注目を集めている。
すでに完成されたとも表現できるP5は、細部がブラッシュアップされ、さらなる進化を遂げた。
その性能を最大限に引き出しているヴィスマ・リースアバイクの、セットアップされたスペシャルP5を現地でリサーチ。注目のポイントを解析していこう。
今年、個人総合2位となったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)のP5。ツール2連覇中のエースにはマットブラックのスペシャルなカラー・モデルが最終ステージで用意されていた
よりスリムに。さらなる剛性と乗り心地の追求
ヘッドチューブの形状がシャープに
正面から見ると、側面が絞られるようなデザインとなりよりスリムな形状になったヘッドチューブ。前投影面積も削減されエアロ性能向上に寄与している。
トップチューブ〜シートステーの溶接部の拡大&快適性の向上
UCIの規格が変わりフレームデザインの自由度が向上。それにともないフレーム・バックの接合部分が大判化&滑らかな形状になり、さらにはシートステーまわりのデザインもブラッシュアップ。
これにより横方向の剛性は確保しつつ、リア部分での衝撃吸収性能を向上。走行時の空気の後方への流れもよりスムースになっている。
ベースバーの位置を下げよりエアロポジションに
ハンドルのベースバーは旧モデルから、より上体の低いポジションどりでエアロ効果を高められる狙いもあり、10mm下げて取り付けられている。
またヴィスマ・リースアバイクのP5は、各ライダーのポジションに合わせたワンオフの固定式DHバーだ。
一方で市販モデルはスペーサーを入れることによって高さ調節も可能。最大40mmまでハンドル位置を上げることができる。また(市販モデルは)DHバーの設置角度もフレキシブルに調節可能。0° 〜 30° まで 5° 刻みに7段階の上向きポジションに簡単に変更できるという。
操作性&快適性の向上
ブレーキ操作性の確保
より強い制動力を生むために大型化された油圧ブレーキレバー。市販モデルはそのブレーキ性能を生かしやすいよう、グリップリーチが10mm短くデザイン変更されることとなる。
最大34mm幅のタイヤサイズに適合
ヴィスマ・リースアバイクのライダーたちが使用しているタイヤ幅サイズは、確認できた範囲で皆が28mmを使用。スペック的には実測34mmまでをカバーすることが可能になっている。
前方からのシルエットがよりシャープになった観のある新型P5。さらにエアロ性能が向上した、完成を上回る『完璧』モデルは、今年ツールの最終ステージ(個人TT)にてヨナス・ヴィンゲゴーが区間2位のタイムをマークしている(写真下)。
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