今年5月、スペイン・イビザ島で初めて開催されたPTOヨーロピアン・オープン。女子はアンネ・ハウク(写真上)が優勝した
9月28日・29日にイビザ島で開催
Professional Triathletes Organisation(PTO)が昨年から展開しているシリーズ戦、PTOツアー。今シーズンは5月6日の ヨーロピアン・オープン(スペイン・イビザ島)、8月5日・6日の USオープン(ミルウォーキー州)、 そして8月19日・20日にシンガポールで アジアン・オープン の3レースが実施された。
来年はアジアン・オープン(場所は同じシンガポール)を4月12日〜14日に行うことをすでに決定していたが、続いてヨーロピアン・オープンを同じくスペイン・イビザ島で9月28日・29日に開催することも公表している。(※写真をタップするとフルサイズで見られます)
地中海西部のバレアレス諸島に位置するイビザ島。欧州有数の観光地を舞台にレースは行われる
また、上記と並行してPTOは今年8月に、ワールドトライアスロンと提携し、2024年ロングディスタンス・トライアスロン世界選手権ツアー を実施することを発表。
これは、既存のPTOツアーのイベントフォーマット(S2km/B80km/R18kmのノンドラフティングレース)をベースに、開催規模を各国に拡大して展開する予定としている(詳細は未発表)。
その8月段階のPTO担当者によると、具体的にはアジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア、そしてアフリカの5大陸にまたがるシリーズ戦で、それぞれ大陸選手権大会としての実施も目指す。そしてシリーズ最後のチャンピオンシップ大会を含む少なくとも6レースを催すとし、詳細を10月に発表するとしていた。
その1レースが、9月28日・29日開催のPTOヨーロピアン・オープンとなるわけだ。
エイジのロング・チャンピオンシップイベントの実現なるか
ロングディスタンス・トライアスロン世界選手権のツアー大会は、プロカテゴリーに加えすべてのアスリートが参加できるエイジ・レースを実施。各レースの結果をランキング集計して世界チャンピオンを決定するプロカテゴリーに加え、エイジのチャンピオンシップイベント開催を予定しており、実現すれば目玉のひとつとなる。
このシンガポール、スペイン・イビザ島でのそれぞれのレースは近々一般の募集がスタートする予定。大会ホームページ上 からその状況が確認できるようになっているので興味のある方はアクセスしてみよう。
シンガポールの中心部で開催される2回目のアジアン・オープンは来年4月に予定されている
ほかのロングディスタンス世界選手権ツアー戦の詳細は近々リリースされるのだろうが、今回注目したいのはヨーロピアン・オープンの開催日(9月28日・29日)だ。
まだ概要は発表されていないが、PTOレースのプロカテゴリーは入賞者に高額の賞金が設定されており、その距離フォーマット(S2km/B80km/R18km)からミドル、ロングを主戦場にしているトップ選手たちが多くエントリーしてきていた。
たとえば、今年の女子ではルーシー・チャールズ – バークレー(2023年アイアンマン世界選手権優勝)、アンネ・ハウク(同2位)、チェルシー・ソダーロ(2022年アイアンマン世界選手権優勝)など。男子はサム・レイドロー(2023年アイアンマン世界選手権優勝)、マグナス・ディトレフ(同3位)、マックス・ニューマン(2022年アイアンマン世界選手権4位)などが挙げられる。
ルーシー・チャールズ- バークレーの2023シーズン最初のレースとなったヨーロピアン・オープン(3位)
その一方で女子レースの年間カレンダーを見てみると来年9月22日、つまりスペイン・イビザ島のレース1週間前にアイアンマン世界選手権ニースがフランスで開催。常識的に考えて上記2レースの連戦は不可能なので、大会スケジュールが重なっている状況といえる。
この点は今後、女子トップ選手の来シーズン予定の中で話題になりそうだ。
来年の9月にニースで開催されるアイアンマン世界選手権は女子レースとなる
新たにスタートするプロシリーズ
ところで、アイアンマン・グループは今回10月のハワイのレースウィーク中に、こちらもエリート選手を対象にした『アイアンマン・プロシリーズ』を展開すると発表している。
具体的には2024年4月のアイアンマン70.3オーシャンサイド大会(アメリカ・カリフォルニア)から12月のアイアンマン70.3世界選手権(ニュージーランド・タウポ)まで、フルディスタンス7大会と70.3レース11大会の合計18をシリーズ対象大会に指定。
出場したフルディスタンス、70.3レースそれぞれで設定されたリザルトによるポイントの獲得合計数(2023年出場の上位5レースまでの合計で、そのうちフルディスタンスは最大3レースまでカウントできる)により、男女プロの年間ランキングを決定する。
このランキングでは1位にそれぞれ20万ドル(約3,000万円)、2位に13万ドルと順に賞金が支払われ10位には1万ドル。そして11位〜50位には一律5,000ドル。男女合計総額で170万ドルが用意されるという。
>> アイアンマン・プロシリーズの詳細(英文)
今年9月のニース大会の表彰台。来年スタートするプロシリーズのポイントはやはり世界選手権が最も高く設定されている
当然のことながらプロアスリートにとって、獲得可能な賞金額もレース選択の大きな要因になり得る。これらは来シーズン、トッププロ選手の動向に影響を与えることになるかもしれない。
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