バイクプロダクツにおいてトライアスロン界でも圧倒的なシェアを誇るシマノ。革新的な機能、そして抜群の信頼性を誇る数々のプロダクツが代名詞ともいえる日本の自転車パーツメーカーは今年、創業100周年を迎えた。トライアスロンバイクでは近年のバイクトレンドのひとつ、ブレーキのディスク化でもシマノのアドバンテージが大きいのは周知のとおり。サーヴェロはフラッグシップモデルとなるP5などにいちはやく導入、今シーズンから本格展開しているキャニオン、スコットの新たなトライアスロンモデルもシマノ製ディスクを標準装備する。
今やツール・ド・フランスでのシマノ・コンポーネンツの使用率は群を抜いているといえる
ヨーロッパのサイクルシーンでも注目度は加速している。そのひとつの理由が、フランスのA.S.O.(アモル・スポル・オルガニザシオン)が主催するすべてのレースのニュートラルサポートを今年からシマノが担っている点だ。これには世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャ、そしてパリ〜ルーベといった数多くのメジャーレースが含まれている。
サイクルロードレースにおけるニュートラルサポートとは、競技者すべてに中立の立場でサービスを提供することで通常、ホイールなどのパーツを積んだ自動車やオートバイがレースに帯同して行う。前出のツール・ド・フランスを筆頭とした欧州メジャーロードレースでは長年マヴィックが務めてきており、TV放送で黄色い車両が随行するシーンをイメージする人も多いのではないだろうか。そのマヴィックはフランスに本社を置くメーカー。ある意味お膝元といえるのだが、それが日本メーカーにスイッチしているというわけだ。多様性といった世界的な流れを見ると取り立てて騒ぐニュースではないのかもしれないが、今年108回の実施を数え、サイクルロードレース界でもっとも権威があるグランツールのひとつ、ツール・ド・フランスで青いシマノの車両が駆け抜けるということは、やはりインパクトは大きい。実際のところ2020年のツール・ド・フランスを見てみると、出場全22チームのうち実に13チームがシマノをメインコンポーネンツに採用している点も見逃せないだろう。
いよいよ6月26日に開幕を迎える今年のツール・ド・フランスに、シマノがどのようなコンポーネンツを投入してくるのか? またTTバイクに新たなムーブメントを起こすのか? 今後も目が離せないシーズンとなりそうだ。
チーム&メカニックカーなどレースに随行する車列に今年はブルーのサポートカーが加わる(写真上)
昨年のツール・ド・フランスのコース上風景。長年、欧州主要レースの顔にもなっていたマヴィックのニュートラルサポートカー