【アイアンマン・チャレンジ企画】みなみ北海道でアイアンマンに挑戦!『レース攻略 6カ月計画』/ 8月4日〜8月31日(最終クール)& 調整トレーニング 《さあ本番に向けてラストスパートだ!》

6カ月チャンレジ

《 みなみ北海道大会でアイアンマン挑戦&完走を目指すトレーニング企画を公開中!》
2025年9月14日に行われるアイアンマンジャパンみなみ北海道で初めてアイアンマンに挑戦するトライアスリートなどに向けた、宮塚英也さん指導による大会攻略法&トレーニング・プログラム連載の最終クール(第6週目+2週間の調整プログラム)となります。
⬇️ アイアンマンジャパンみなみ北海道・大会HP
https://www.ironman.com/races/im-south-hokkaido

指導/宮塚英也(アイアンマンジャパンみなみ北海道 大会スーパーバイザー)

〜 レースまであと1カ月半! 〜
【 自身のコンディションと相談しつつ、本番への総仕上げを 】

アイアンマンジャパンみなみ北海道に向けた、6カ月間にわたるトレーニング プログラム企画も最終クールに入りました。
今回は真夏の過酷なコンディション下での取り組みの工夫や、本番への仕上がりを左右する『調整トレーニング』の極意を、日本でもっともアイアンマンを知り尽くしているひとりである宮塚英也さんが引き続き伝授してくれます。

.

《 9月14日に向けたトレーニングプログラムを 4週間単位で紹介 ~最終クール~ 》

【 本番に向けてラストスパート。しかし、この時期だからこそ慎重かつ計画的に取り組もう!】
さあ、9月14日に行われるアイアンマンジャパンに向けての仕上げとなる、これから4週間の強化トレーニング(第6クール)と、その後2週間かけて取り組む調整練習のポイントを紹介していきましょう。
もちろん、この1カ月半は非常に重要になりますが、だからといって無理に追い込む必要はまったくありません。
なぜなら、今年の3月末からこの連載プログラムに則り、合格レベル(設定トレーニング量の7〜8割をこなしてきた)に達しているアスリートならば、すでにアイアンマンを完走できる実力は十分に備わっているといえるからです。(宮塚)

『ゼッタイに無理をしない』という鉄則

まずは、6カ月プログラムの終盤を迎え、設定されていた第5クールからの週平均トレーニング量を見てみましょう。

【9月14日に向けたプログラム紹介(終盤)】

・第5クール:7/7(月)〜 8/3(日)
(週平均の合計練習時間めやす:9時間30分/週)

・第6クール:8/4(月)〜 8/31(日)
(週平均の合計練習時間めやす:10時間00分/週)

・調整期間 :9/1(月)〜 9/13(土)

これからも分かるように7月前半からの4週間と、8月の第6クールとを比較すると練習量はさほど変わっていません。週平均で30分ほど増えているだけで、メニューの内訳もベースはほぼ同じといえます。
つまり、この期間で “合格ライン” としてきた『提供メニューの7〜8割』をこなしてきた人は、週8時間前後の平均トレーニング量を積んできている計算となります。

ここで思い起こしていただきたいのが、今回のトレーニング企画がスタート(プロローグ①)したときに示した、目標とする週平均の練習時間。
『1週間に8時間のトレーニング量を無理なくこなせるレベルになれば、アイアンマンをある程度余裕をもって完走できる』というキーワードです。

つまり、ここまでの目標を達成してきたアスリートならば、アイアンマンの称号を得られるフィットネスレベルを有していると言い切れる。ここまで来ればこっちのもの、といった状態でもあるのです。

一方で、頑張って最終段階のトレーニングを行いたい8月は、最も過酷な練習環境下でもあります。
それだけに、この時期一番注意したいのが “無理をして体調を崩したり、コンディションを落とす” こと。

シッカリと第6クールに取り組み、さらに体力の積み上げが実現できれば最高。そうではなくても現状のレベルを落とすこと無く9月を迎えらればOK。
そんな余裕をもってこれからのトレーニングに臨んでください。

繰り返しになりますがレースを前にして焦って無理にトレーニングを詰め込み、せっかく積み上げてきたパフォーマンスを過労により落としてしまうことだけは避けなければなりません。
これは、今回の6カ月プログラム総仕上げの鉄則で、本番で結果を残すためにはときには我慢も必要。そう肝に銘じてください。

極論を言うとこの8月は、今回紹介しているプログラムの半分くらいの消化量でもかまいません。
その理由は、この4週間(8月)の練習に続く、2週間の調整メニューの重要性と密接に関わっています。

9月の調整トレーニングの重要性

本番に向けた調整トレーニングの重要性や、最低でも2週間の期間を設けないといけないという理由は前回のコラムでも触れました。
これは非常に重要なポイントなので、今一度掘り下げておさらいしておきましょう。

調整(テーパー)というのは、頑張って強化トレーニングに取り組んだあと、練習量をマネージメントして疲労を抜き、その後調子を上向きにしていって本番で最高のパフォーマンスを発揮するための作業です。
この期間が短すぎる場合、たとえば1週間しかとらないとすると、その間は調子がまだ下がっているタイミング。つまり、疲労がたまった状態でレースに臨まなければならないというパターンに陥ってしまいます。

そこで『調整期間は最低でも2週間を設ける必要がある』というノウハウを、前回コラムで示してきました。
最初の1週間で、ロング出場に向けて頑張ってきた身体を効率よく癒やしていく。そうすると、その翌週から体調はドンドンと上がっていき、レース当日、最高のコンディションでスタートラインに立つことができるのです。(各クールの第4週目はイージー週なので、実質的には3週間の調整期間と見ることもできます)

これは、目標レースに向けてシッカリとトレーニングを積んできたアスリートならば、トップ選手も完走目的のエイジも同じ。さらには競技距離(ロング、51.5kmなど)も関係ありません。
私(宮塚)が選手時代に実践、体験してきた、身体の疲労サイクルをしっかりとマネージメントするためのノウハウで、これまで多くのエイジに取り組んでいただき結果を挙げてきています。

私の現役時代は、状況に応じて3週間の調整期間を設けていた場合もありました。
こういった期間設定の柔軟性は一般エイジの方も同じです。たとえば現状、すでに過度な蓄積疲労が懸念されている場合は、調整期間を長めにとってもかまいません。

繰り返しますが、ここまで合格レベルのトレーニング量をクリアできている人は、アイアンマンを完走できるレベルには達しています。
ですので、酷暑の中無理をすべきでない状況ならば、現状のコディションを落とさない程度のトレーニング量に止めておく。その目安が、第6クールでは全体プログラムの半分程度となるのです。

“調子を上げるため” の調整トレーニング

ひとことに『調整期間』というと単純に、練習量を落としていけば良いと考えがちな人は多いようですが、それはある意味間違った部分があります。
このタームではこれまでのトレーニングの疲れをとりつつ、適度な刺激も身体に与えていくことが肝心。そうすることで、取り組むメニューが調子を上げていくための波及性を、より高めていくことになるのです。
決して練習量を落とすことが目的ではなく、適したタイミングで強度を上げるなどでして本番に向け、最高のコディションへと仕上げていく。
これこそが調整トレーニングの本質で、今回紹介するメニューもそのエッセンスがふんだんに注入されています。

以上も踏まえ、皆さんに取り組んでいただく第6クールのプログラム、その後に続く2週間の調整トレーニングと、そのポイントを順に紹介していきましょう。

.

《 第6クール・4週間プログラムの解説 》

【 8月4日 〜 8月10日 ※表をタップして拡大

>> 詳しいメニューはこちら ※リンク

前クール(7/7 〜 8/3)と比べ、今回の第6クールのトレーニング合計時間は少しだけ増えています。
具体的には週合計の平均時間(イージー週を除く)が約30分増。ですので、第5クールを順調にこなせてきた人はそのペース維持を目標としましょう。
ただ8月に入っても酷暑が続き、トレーニング時の負荷が過度になるケースは多々あると思います。その場合、決して無理することなく強度や練習量を落としましょう。
理想は第6クール提供の全体プログラムに対して7〜8割の時間をクリアすることですが、本文でも述べているとおり、このフェーズでは半分の練習量でもかまいません。大切なのはとにかくコディションを落とさないことです。
また、8月10日の バイク&ラン のトレーニングはブリックラン(連続)でも、別々に行ってもOKです。

【 8月11日 〜 8月17日 ※表をタップして拡大

>> 詳しいメニューはこちら ※リンク
13日(水)のスイム練習で『E3』強度が登場します。
アイアンマン完走を目的とした全体プログラムの中では、無理をして E3強度に取り組む必要はないのですが、これは実戦をシミュレーションしたメニューととらえてください。
実際、スイムのスタート時は(初心者でも)混雑が避けられずにどうしても泳ぎのペースが乱されるケースは良くあること。
そんな時パニックに陥らないよう、ある程度心拍数を上げたトレーニングを、シミュレーション的に導入しています。
一方で、ここまで疲労が大きくて、強度を上げるのがおっくうだという人は無理に追い込む必要はありません。自分のペースでメニューをこなして行ってください。
また、これまでのクールと同様、表組みの中でオレンジ枠に記しているトレーニングは、前コラムまでに紹介してきた「ローリングコース対策のローラー台トレーニング」「ヒジ曲げストローク」(過去連載の動画も参照)などの『みなみ北海道大会・対策メニュー』を取り入れているので積極的に活用しましょう。

【 8月18日 〜 8月24日 ※表をタップして拡大

>> 詳しいメニューはこちら ※リンク
第1週と同じく、24日の日曜日は バイク&ラン のメニューとなっています。
こちらもブリックラン(連続)、あるいは別々に行ってもOK。ちなみに私(宮塚)は現役時代、ブリックランを練習に取り入れたことはほとんどありませんでした。
その大きな理由はバイク、ランとも理想の動きで練習に取り組むために、できるだけフレッシュな(疲れていない)状態で臨みたかったからです。
ただ、一般的にブリックランを取り入れることは、実戦トレーニングとして効果的ともいえるので、自身の好みでチョイスしてください。

【 8月25日 〜 8月31日 ※表をタップして拡大

>> 詳しいメニューはこちら ※リンク
この週は、今までのクールと同様リカバリーを意識した7日間になります。
ただし第5クールまでと違うのは、翌週から調整週(2週間)に移ること。この2週間は、単に練習量を落としていく訳ではなく、調子を上げていくため「刺激入れ」メニューも多々入ってきます。
非常に大切なフェーズに移るので、しっかりと疲れをとり「集中して」調整トレーニングに臨めるようにしてください。

《 調整プログラム(2週間)の解説 》

【 9月1日 〜 9月7日 ※表をタップして拡大

>> 詳しいメニューはこちら ※リンク

全体メニューを見ていただければ分かるように、調整週に移ったといっても E3強度など、身体に刺激を入れるトレーニングが随所に入ってきます。
これは、8月25日 〜 8月31日 のイージー週でしっかりと疲労をとったあと取り組むことにより、『調子を上げていく』トレーニング・プログラムとしてより効果を発揮します。
それゆえ、この段階で疲労困憊の状況に陥らないよう、第6クールの練習で無理をしないことが重要となるのです。

【 9月8日 〜 9月13日 ※表をタップして拡大

>> 詳しいメニューはこちら ※リンク
この週は、積極的休養に務めることにより、前週の調整トレーニングの効果も含め、コンディションが上がってきていることを実感できることでしょう。
あとは自分がやってきたことを信じてレースに臨むのみ。素晴らしい結果が待っているはずです。
みなみ北海道の舞台を存分に楽しみましょう!

⬇️ トレーニング強度の指標(基本資料)

※タップして拡大できます

>> トレーニング強度による運動時心拍数の算出方法はこちらを参照 ※リンク

.

最後に今回の第6クール、そして調整トレーニングの全体プログラムを一覧で紹介します。こちらも参考にしてください。 ※表をタップして拡大できます

【 第6クール・4週間プログラムの一覧&週単位のトレーニング時間 】

【 調整・2週間プログラムの一覧&週単位のトレーニング時間 】

⬇️ アイアンマンジャパンみなみ北海道・大会HP
https://www.ironman.com/races/im-south-hokkaido

.

指導/宮塚英也(みやづか ひでや)
現役時代、宮古島トライアスロン4勝、第1回ロングディスタンス日本選手権優勝など数々の実績を挙げ15年以上トップを走り続けてきたレジェンド。特にアイアンマン世界選手権コナ(ハワイ)では計13回出場し、9回の20位以内のリザルトをマーク(うち2度のトップ10入り)。世界でも5本の指に入る金字塔を打ち立てている。
9月14日に行われるアイアンマンジャパンみなみ北海道では、昨年に続き大会スーパーバイザーとしてレースアドバイスなどに携わっている。

.

>>【チャレンジ企画】アイアンマンジャパンみなみ北海道『レース攻略 6カ月計画』の連載コラム一覧 ※リンク

.

👇 You are an IRONMAN!(コンセプトムービー)

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道。2024年9月15日(日)開催を目指し実行委員会が立ち上がる / 日本にフルディスタンスのアイアンマンが帰ってくる!

  2. 2

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  3. 3

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  4. 4

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  5. 5

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  6. 6

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  7. 7

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  8. 8

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道 の2024年9月15日開催が正式にアナウンス / エントリーは12月19日の午前9時よりスタート!

  9. 9

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【後編】/宮塚英也のトライアスロン“EYE”  〜クリスティアンのトレーニグ改革〜

  10. 10

    アイアンマン70.3東三河ジャパン in 渥美半島 が6月10日(土)に開催!/ 世界選手権への道(フィンランド・ラハティ)も日本から!

おすすめ記事
過去の記事
  1. アイアンマン・セントジョージ特集 / 写真で見るチャレンジングなコース。タフなバイクパートが勝負を分ける

  2. 【IMニース世界選手権・特集】 IRONMAN Village・大会エキスポ探索 ① 〜アイアンマン・グッズ編〜

  3. ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  1. 賞金総額1億3,500万円! PTOカナディアン・オープンがいよいよ開催

  2. 2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  3. ツール・ド・フランス2021特集 レースを支える応援者は“もうひとりの主役”

TOP
CLOSE