シートチューブレス × ペダルレス × F1発想——ヴァンリーゼル『FTP²』コンセプトを解剖

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photos / Van Rysel

フランドル文化圏に連なる北フランス・リール発信の新興メーカー『Van Rysel(ヴァンリーゼル)』が革新的、そして超意欲的なコンセプト・モデルを発表した。

プロジェクト名は “FTP²(Flanders Turbo Project/フランダース・ターボ・プロジェクト)”。
いわゆる「閾値」を基準とした強度でおおむね1時間前後維持できる高い定常パワーを表す指標となる『FTP』値をテーマに、その2倍実現を目標とした特別アジェンダを、ヴァンリーゼルが打ち出したものとなる。

その具現化を目指すプロダクトとしてバイク、シューズ、ヘルメットの3ラインを発表。
これらはあくまでコンセプトモデル(設計品で、商品化を目的としない)となるが、その先鋭性は大きな注目を集めることになるだろう。

ヴァンリーゼルの名が世界的に知られるようになったのが2024シーズン。
ツール・ド・フランスにも出場するワールドチーム「デカトロン・AG2R(アージェードゥーゼル)ラ・モンディアル(※当時の体制。2026年は “DECATHLON CMA CGM TEAM” として活動)」が使用し、その高い走行性能を披露し続けてきた。

2025年のツール・ド・フランスのレースパドック。ツール2年目となるヴァンリーゼルはすでにレースシーンに十分溶け込んだ感があった(photo / Hidetaka Kozuma)

ツールの個人TTステージでは、タイムトライアルモデルの XCR UCI を投入。その存在感も際立っていた(photo / Hidetaka Kozuma)

トライアスリートにとって高い親和性を感じさせるのが、プロダクツ全般にわたり、ヨーロッパ先端エアロ工房のスイスサイド(SWISS SIDE)社がデザインに携わっている点だ。
モータースポーツの最高峰であるF1で「エアロダイナミクス」のエンジニアとしてザウバーで活動、 トヨタ・チームで開発にも携わったことのあるジャン=ポール・バラール氏が中心になって設立されたスイスサイド。
そのホイールなどのプロダクトが、欧州を中心としたトップ・トライアスリートに愛用されていることでも知られている。

2025年7月にドイツで行われたチャレンジ・ロートのエキスポで展示され、注目を集めていたトライアスロンモデル(photo / Hidetaka Kozuma)

2025年は満を持してトライアスロンバイク「XCR TRI」が登場(写真上)。
今シーズンは、このヴァンリーゼルの展開にも注目しておくべきだろう。

では、さっそくこれら話題を提供しているコンセプトモデルを紹介する。

FTP² バイク

シートチューブがないデザインが、新たなエアロフレーム・ムーブメントの到来を予感させるコンセプトバイク。
「2本のチェーンステー」とも表せるリア・チューブの形状は、カデックスTRI やコルナゴのTT1 と共通する部分があるとも見てとれるだろう。
時速45km超でのパフォーマンスを、さらに加速させていくデザインだとメーカー側は発表。
e-バイクを前提としており、そのフレーム形状は走行時に受けた風が、後方へと流れる気流の抵抗削減をアグレッシブに表現したといえるデザインが映える。超高速域での安定走行を探求した近未来シルエットとも評せるだろうかーー。
トライアスロン的に見るとまさに温故知新。ソフトライドが生むハードコア・ライドを具現化している。

ダウンチューブ下部には、スポーツカーのエアーインテークのような形状のパーツが装備。こちらも整流効果を狙った機能と推察されるなど、まさに無限のイメージネーションが膨らんでいくバイクだ。

INNOVATIVE CYCLING SHOES

シューズそのものがペダルの役割を果たす “ペダルレス・テクノロジー” を考案。つまり、ペダリングにペダルは必要ないというブレイクスルー・デザインだ。

さらには、ホールド機能も一体化。モーター駆動レース(靴紐)と表して、締め付け機能を完全に内蔵&モーター化。かかと部に配置した SRAM バッテリーで駆動する “内装化された巻き取り機能” で、マイクロモーターを介してテンションを調整できるという。
また、外側面に NACAプロファイル(航空機の翼形状)が設計され、気流を整えて最適化する機能も備える。

ROCKET-PILOT HELMET

F1の技術に着想し、“ロケットを操る” 世界最速のフォルムを探求。ロード使用の認証は取得済みとのこと。
こちらは既存のモデルをベースに、あらゆる機能をブラッシュアップ。
ロードレース仕様の軽さと、TTプロファイルの空力性能を高次元で両立させているという。

後部にはライトが完全内装されており、後方からの視認性を担保している。

繰り返しになるが、これらは商品化されるものではない。
しかし、新たなイノベーションを探求したこれら意欲作は、データインプットしておきたいところだ。

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