トライアスリートに高い使用率を誇るトレック。ツール・ド・フランス(TDF)でも使用されているエアロロードのマドン、軽量オールラウンダーのエモンダも魅力的だが、やはり本命はトライアスロン& TTバイクの Speed Concept(スピードコンセプト)だろう。その新型モデルが9月18日にアメリカ・ユタ州セントジョージで開催されたアイアンマン70.3世界選手権でお披露目され、注目を集めていた。
(写真左上)TDFに出場したトレック・セガフレードはスラムのコンポーネンツを使用。フロントフォークの上部には『Speed Concept』のネーミングが冠されている (写真右上)フレームのシートポスト付近には時間掲示をイメージさせるペイントが。1分1秒を削り出すタイムレースに特化した機能の粋を結集させた意を表すデザインなのだろうか
実は2022モデルとなる Speed Concept はすでに今シーズン、ロードレース界ではプロトタイプともいえる新モデルがタイムトライアル(TT)ステージで登場している。写真がそのTTバイクなのだが、現行モデルから大きく進化した点はやはりディスク化されたブレーキシステムだろう。TDFにも出場しているワールドチーム、トレック・セガフレード(アメリカ)が導入しているコンポーネンツはスラム。ただし、トレックの市販ハイエンド・ロードモデルにはシマノ・コンポーネンツを搭載したタイプも同様にラインアップされている上に、現行までの Speed Concept の完成車はシマノ・アルテグラが採用されていたので、シマノ・ディスク装備の新型が登場することは間違いないだろう。
フレーム形状の特徴としては、キャニオンやスペシャライズドなどの人気トライアスロン・モデルに追随するかのようなシャープなデザインや低くセットされたステム、そして全体的にボリュームのあるチューブが目につく。ダウンチューブは一部フロントホイールの輪郭に沿ったシェイプに加工されていて、よりエアロダイナミクスを意識したものに。シートステーが折れ曲がった形状は、スペシャライズドの S-WORKS Shiv TT に似たデザインで、フレーム剛性に対しての乗り心地を狙ったものと推測される。
フレーム素材はもちろんトレックの代名詞ともいえるOCLVカーボン。ロードバイクの上級モデルには、ハイグレードの 800 Series OCLVカーボン が使用され軽量かつ高強度に仕上げられているのだが、トライアスロン&TTバイクでは高速巡航性と快適性のバランス融合も性能のひとつと考えれば 、下位グレードとなる 700 Series OCLVカーボン 以下の素材採用もありえるか。メーカーの詳細発表を持ちたい。
先述したがトライアスロンでは公には9月18日のアイアンマン70.3世界選手権でデビューしている。写真下は男子6位に入ったベン・カヌート(アメリカ)だが、TDFで見られたTTバイクとフレーム形状がほぼ同様に見られるところから、今後リリースされるトライアスロンバイクも、ベースはここまで写真で紹介してきたモデルと同じになるだろう。
目を引いたポイントといえばボトムブラケット上のフレーム接合部にストレージとなるアタッチメントボックスが装備されていたことと、フロントにボントレガー/アイオロスの新型75mmハイトのエアロホイールを使用していた点。このリム高75mmのホイールはTDFで登場したTTバイクにも採用されており、より高いエアロダイナミクス性能を一般ユーザーに提供するため、市販の完成車モデルにも標準装備されるのか注目したい。
いずれにせよ2022ラインアップの発表はすぐそこまで来ている。今回紹介したモデル(写真)から、トライアスロンバイクとしてドレスアップされた新型 Speed Concept の登場を待とう。