トライアスリートのためのTDF / ピナレロ史上最速のTTバイク “BOLIDE F” はハワイでも見られるか?

プロダクト

今年、デンマークのコペンハーゲンで開幕したツール・ド・フランス(TDF)。第1ステージは、オープニングレースとしての花形、個人タイムトライアル(TT)だった。
その中でひときわ目立ったTTバイクのひとつに、ロードレース個人タムトライアル世界チャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イタリア/イネオス・グレナディアーズ)が駆り、ステージ4位となった “BOLIDE F” がある。

ツール・ド・フランス第1ステージに向け、チームでウォームアップ・トレーニングを行うイネオス・グレナディアーズの選手たち。手前が今年のエースライダーとなるゲラント・トーマス

この新型TTバイクは、2015年にブラッドリー・ウィギンズ(イギリス)が当時のアワーレコードを記録するなど、自転車史に名を刻んだ初代プレミアムモデルのBOLIDEから数えて3代目となる。
大きな特徴は3つ。エアロダイナミクス、ハンドリングの向上。そして転がり抵抗の軽減だ。

最初にエアロダイナミクスの向上について。
まずは新型の BOLIDE F と、先代型となる BOLIDE(下)を見比べてみよう。こちらは2018年のTDFで個人総合優勝を果たしているゲラント・トーマスのバイクになる。(写真は2019年のTDF時のもの)

印象としては先代モデルが、全体的(特にリアまわり)に曲面デザインにシェイプされ、当時の技術の最新エアロダイナミクスをカタチにしていたといえる。
それに対し、BOLIDE F はシートチューブからリアまわりは比較的直線基調のデザインとなり、ダウンチューブに独特の湾曲した加工が施されている。

これは、いうまでもなく最新のエアロ解析技術、具体的には数値流体力学という理論が利用されデザインされているとのこと。
それによりフレームの総表面積を5,000万分割し、これまでは不可能だった気の遠くなるほどのパターン数の組み合わせデザインをシミュレーション。それぞれの抵抗数値をもとに、エアロダイナミクスの大幅な改善、さらには軽量化を追求したフレームのひとつのカタチとなっているわけだ。

ツール・ド・フランス第18ステージのスタート前。チーム&選手紹介が終了し、ステージ裏に戻るフィリッポ・ガンナ

というのも、一般的にバイクフレームの空力特性を向上させるには、チューブの表面積を増やす必要がある。これまで、数々のトライアスロンバイク、TTバイクの形状が扁平形状だったのはその理由からだ。
しかし、フレーム面積を増やすと必然的に重量は重くなってしまう。

そんな中、この B0LIDE F は最新の “数値流体力学” から(エアロ性能と重量の)最善のバランスを導き出し、成形されたフレームになっている。

2つ目のハンドリングの向上については、主にヘッドセットとハンドルバーによるところが大きい。

ヘッドセットはステムの厚みを減らし、エアロ効果向上を狙った結果、現行までのモデルと比べてダイレクトで素早いハンドリングを生むこととなった。
またディスクブレーキ導入による制動性の向上も、操作性に与える効果は大きいだろう。

ハンドルは、ベースとなるバーの形状を専用開発設計して空力抵抗値を削減し、DHバーについては角度調整を簡略化。取り付けの調整機能を有効に活用できるようにしたという。

最後の転がり抵抗の低減は、最大28mm幅のタイヤが装着できる設計で、いわゆる幅広タイヤで決戦に臨むことができる。

ツールでガンナガ乗るピナレロ・ドグマF。フレームサイズ(大きい)のせいもあってか迫力を感じる

TDFは7月23日(土)に個人TT(第20ステージ)が行われる。
個人総合優勝を争う選手はもちろん、タイムトライアルのスペシャリストたちも、このステージに照準をあわせて優勝を狙ってくるこの上なく激しい、そして独走力のみを競い合う特別なレースとなる。

7月23日のツール最終決戦となる個人TTステージの中心になるひとりは間違いなくガンナだ

今回は、近年ではなかった40km超ののコース距離となっており、どのような機材が投入されてくるかなどにも注目が集まるだろう。
ツール初日の個人TTで4位に甘んじたガンナが、満を持して巻き返してくることは確実。
その走りを後押しするのが “BOLIDE F” だ。

アイアンマン・ハワイで BLIDE F のトライアスロン仕様が登場するか?

さてイネオス・グレナディアーズといえば、プロロードレーサー&トライアスリートのキャメロン・ワーフ(オーストラリア)に触れないわけにはいかないだろう。

同チームと契約している彼は、これまでのシーズン中も、アイアンマンを中心にトライアスロン大会に積極的に出場。今年5月のセントジョージ(アイアンマン世界選手権)では先代モデルとなる BOLIDE TT TR+(写真下)を駆り、バイクラップ・トップをマークしたことは記憶に新しい。

彼が今年10月のハワイに出場してくれば、新型 BOLIDE F のトライアスロン仕様バイクが登場することは間違いない。
ぜひ、現在のハワイのバイクレコード(4:09:06)をもつ “ワーフ & BLIDE F” のパフォーマンスを見たいものである。

ちなみに、その5月のセントジョージで走った先代BOLIDEも、トライアスロン、そしてキャメロン・ワーフならではの仕様が施された注目バイクだった。
その詳細も今後プレビューするのでご期待願いたい。

そこには、BLIDE F TR+(仮称)のヒントを随所に見ることができるだろう。

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    国内大会からまたハワイへの道が開かれる日が!2023年日本でアイアンマン開催実現に期待しよう!

  2. 2

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道。2024年9月15日(日)開催を目指し実行委員会が立ち上がる / 日本にフルディスタンスのアイアンマンが帰ってくる!

  3. 3

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  4. 4

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  5. 5

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  6. 6

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  7. 7

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  8. 8

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  9. 9

    アイアンマン ジャパン みなみ北海道 の2024年9月15日開催が正式にアナウンス / エントリーは12月19日の午前9時よりスタート!

  10. 10

    アイアンマン70.3東三河ジャパン in 渥美半島 が6月10日(土)に開催!/ 世界選手権への道(フィンランド・ラハティ)も日本から!

おすすめ記事 過去の記事
  1. 【IMニース特集】アイアンマン世界選手権 Men・ニース大会のプロ出場選手リストが発表

  2. 【Harry’s Shots 2024】 全日本トライアスロン宮古島大会

  3. 《Hawaii 特集》10月9日(日本時間未明)にアイアンマン・ハワイ男子プロがスタート / クリスティアン・ブルンメンフェルトの同一年世界選手権制覇なるか(男子プロ有力選手展望)

  4. チェルシー・ソダーロ / トライスリート、母親、そしてフロントランナーとして。

  5. “BOULDER/メッシュバッグ”  あらゆるシーンにフィットする多機能ストレージが登場

  6. 【Harry’s Shots】全日本トライアスロン宮古島大会 〜アーカイブ〜

  7. コリンズ・カップ2022がキックオフ / オープニングセレモニー【動画】ダイジェスト

  8. トライアスリートのためのTDF【TTバイク編③】 ジャイアント・TRINITY ADVANCED PRO TT / ブルンメンフェルトがアイアンマンレコードを叩き出したファストバイク

  9. アイアンマン世界選手権2023・ニース大会。そのレースプロフィールに迫る ①

  10. ブルンメンフェルト『ついに闘う日が来た』。フロデーノ『鳥肌が立つね』 。世紀の一戦がスペイン・イビザ島で開催 / PTOヨーロピアン・オープン

  1. ツール・ド・フランス 2021に見る東京五輪を走るバイク③ 〜アレックス・イー編〜

  2. グスタフ・イデンとアシュリー・ジェントルがツアー開幕戦を勝利 / PTOカナディアン・オープンが開催

  3. 2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  4. コリンズ・カップはトライアスロンの新たな歴史を刻んだか?

  5. ツール・ド・フランス2021特集 2年目の『バブル』を迎える世界最大の自転車レース

  6. ツール・ド・フランス2021特集 レースを支える応援者は“もうひとりの主役”

  7. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 ブレーキシステムのトレンドを追う

  8. 躍進するシマノ。今年のツール・ド・フランスにも注目

  9. ツール・ド・フランス2021に見る東京五輪を走るバイク① 〜バンサン・ルイ編〜

  10. 新しい地平を開くコリンズ・カップ。賞金総額1億6千万円のレースが開催

TOP