10月26日(土)にハワイ島・カイルア – コナで開催されるアイアンマン選手権のプロカテゴリー出場者リストが発表された。 © IRONMAN
昨年、男女それぞれ開催地が分かれての実施となってから、ハワイで行われる初めての男子レース。(※写真下は2022年アイアンマン世界チャンピオンに輝いたグスタフ・イデン)
注目のエリートレースは、9月22日(日)にフランス・ニースで開催されたプロ女子レースと同じく豪華な顔ぶれでアイアンマン男子の頂点が競い合われることとなる。
その注目選手たちを、今シーズンの成績&コンディションなどを交えながらピックアップしていこう。
【 サム・レイドロー(FRA)】
レースの中心となるのはやはりこの人。
昨年のニースで悲願のアイアンマン世界チャンピオンに輝いただけでなく、一昨年のハワイでは2位に。しかもバイクラップは4時間04分36秒というこれまでのレコードタイムを大幅に更新しての独走を見せ、「あわや」というところまで行ったのは記憶に新しいだろう。
昨年ニースでも当然のようにバイクラップ1位をマークしており、展開によっては圧勝もありえるか。
ただ今シーズン前半は不調が続いた上に、今年出場のメジャーレースはすべてミドルディスタンスの T100 シリーズ のみ。
一方で7月の T100 ロンドン大会で優勝、9月の T100イビザ大会2位と調子を上げてきており、今回1年ぶりとなるフルディスタンス・レース参戦に向けての調整が勝敗のカギを握ることとなる。
【 クリスティアン・ブルンメンフェルト(NOR)】
本命となるノーウィージャン・デュオのひとり。
周知のとおり2021年東京オリンピックを制したあと、翌年5月のアイアンマン世界選手権(セントジョージ)優勝。同年10月のアイアンマン・ハワイ3位と男子のトライスロンシーンを席巻したあと、2024年のパリ五輪にターゲットを設定。その今年7月末、そして8月5日(ミックスリレー)の大一番を戦ったわずか2週間後にアイアンマン・フランクフルトに参戦し、なんと7時間27分21秒で圧勝した。
そのときのランラップは2時間32分29秒というパフォーマンスを披露してみせ、一気にハワイの主役のひとりに返り咲いている。
【 グスタフ・イデン(NOR)】
前回、ハワイで行われた2022年アイアンマン世界選手権・男子チャンピオン。
アイアンマン70.3世界選手権も2度制しており(2019年、2021年)、新たなアイアンマンの勲章を手にすることができるか?
同胞ブルンメンフェルトと同じくハワイのあとはパリ五輪に照準をあわせるも代表に入ることは叶わず、その後もコンディション不良などが続き思うような成績を残せていなかった。一方で、夏場のチャレンジ・レース(ミドルディスタンス)2大会で優勝&2位と調子を上げてきての参戦となる。
最大の懸念材料は2022年のハワイ優勝以来、フルディスタンスのレースには出場していない点。今回、強力なライバルたちがぶつかり合うフィールドだけに苦戦は免れないだろう。
【 マグナス・ディトレフ(DNK)】
一昨年から頭角を表し自他とも認めるトップ選手に上りつめたデンマークのディトレフ。
昨年はドイツのチャレンジ・ロートで 7時間24分40秒をマークし、ヤーン・フロデーノのもつレコードタイムを更新して優勝。ニースのアイアンマン世界選手権では、身長195cmから繰り出される独特なストライドでラン途中まで2位を走り、最終的に3位表彰台を獲得するという躍進を見せている。
出場するレースでは必ず表彰台にからんでくる安定感も抜群で、現在 PTO世界ランキング1位。大学卒業後、工学エンジニアの世界からプロトライアスリートへ転身するという異色のキャリアの持ち主は、念願のアイアンマン世界チャンピオンに向け準備万端。得意のバイクパートでは、トレードマークともいえるフロントシングルの大径チェーンリングを武器に、ライバルたちに決定的なダメージを与えるプランで挑むことは間違いない。
【 パトリック・ランゲ(DEU)】
2度のアイアンマン・ワールドチャンピオンシップのタイトルを獲得し、昨年のニースで2位。そのランパートでは世界選手権のラン・レコードとなる2時間32分41秒をマークしている。
これまでアイアンマン世界選手権に6度出場し、そのうち4回表彰台に立っており、今回も優勝争いの一角を成す。一方で、サム・レイドローなど3種目で高次元のパフォーマンス・バランスを有する先鋭アスリートに対し、ランで追い上げるというプランだけではフィニッシュで彼らに届かない可能性があることは否めない。
ゆえに今回、スイムで出遅れることなくバイクでも好位をキープし続けることは必須となる。
さらには、ランとあわせて彼のストロングポイントとなる “経験” を活かしたいところ。ハワイ島という特別な地でその値を最大化し、ライバルたちを凌ぐパワーに変えることができれば勝機が見えてくるはずだ。
【 マット・ハンソン(USA)】
ここまでの、アイアンマン世界選手権を制した4人などに加え、あえて紹介したいのがアメリカのマット・ハンソンだ。
理由はひとつ。今年からスタートした アイアンマン・プロシリーズ で現在ランキングトップを走っているから。
2024年に行われるフルディスタンス、70.3レースの合計20大会を対象に、高額の賞金がかけられたランキングシステム。そのシリーズ大会にコンスタントに出場し続けてポイントを積み上げ、初代シリーズ王者も目指している。
今年の主な成績は5月にアメリカ・テネシー州チャタヌーガで行われたアイアンマン70.3優勝など。
ただ、アイアンマン世界選手権ではこれまで6回出場して13位が最高。優勝争いに絡むのは厳しいだろうが今後、名前を覚えておきたいチャレンジャーといえる。
ほか、今回のレースでその動向を押さえておくべき出場者は下記になる。
【 ライオネル・サンダース(CAN)】
“No Limit” の愛称でおなじみのライオネル・サンダースは今年、アイアンマンで1勝(カナダ)、アイアンマン70.3レース2勝(オーシャンサイド、モントレブラン)と好調。ただ、トップ・オブ・トップが集うハワイではスイムでライバルたちに遅れをとることは必至で、そこからの追い上げ、さらにはどれだけ自身の “限界” を超えていけるかがカギとなる。
【 ルディ・ヴォンバーグ(USA)】
昨年、ニースでの世界選手権4位。得意とするバイクパートの相棒を、今シーズン途中にトレックからファクターにスイッチし、ハワイの世界選手権でさらなる飛躍を目指す。
【 クレメン・ミニョン(FRA)】
サム・レイドローに次ぐフレンチ・エキスプレスといえば彼。昨年のニース世界選手権では優勝候補のひとりにも挙げられていた。一昨年のアイアンマン・ハワイでも9位とコース適性は備えている。
【プロ男子スタート時刻】日本時間:10月27日(日)午前1時25分(現地:10月26日・午前6時25分)
【ライブ配信】
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