今年3 月に、股関節の疲労骨折で戦列を離れていたルーシー・チャールズ-バークレー(写真上)。
2021シーズンはアイアンマン70.3世界選手権優勝、8月のコリンズ・カップ1位、アイアンマン70.3ヨーロピアン・チャンピオンシップ優勝など、最も輝いた女性プロ・トライアスリートのひとりだ。
2022年は5月のアイアンマン世界選手権(セントジョージ)などでさらなる飛躍が期待されていただけに、彼女の故障に残念な思いを抱いた関係者は多かった。
故障当初は松葉杖をつく姿が痛々しかったが、地道なリハビリを経てトレーニングを積み、驚くほどのスピードでレースに戻ってくることを今回アナウンス。
まずターゲットとしたレースは8月21日に実施される、ワールドトライアスロン・ロングディスタンス・チャンピオンシップ。スイム2km、バイク80km、ラン18kmで遅れたシーズンをスタートさせる予定だ。
実はこのレース、今年はこれまで度々お伝えしてきているコリンズ・カップと同時期&同会場(スロバキア・サモリン)開催となっており、そちらでも注目を集めている。
具体的には8月20日(土)に賞金総額150万ドルをかけたコリンズ・カップ、そして21日(日)はエイジのレース(PTOツアー)を実施。
そしてワールドトライアスロン・イベントでは、『マルチスポーツ・ワールドチャンピオンシップ』として、8月18日にアクアスロン世界選手権(S1km+R5km)、21日にロングディスタンス世界選手権とアクアバイク(スイム+バイク)世界選手権が開催される。
今年のサモリンは同じ大会会場ながらもレース規模がさらに拡大されることとなった
距離はアクアスロン以外はすべてスイム2km、バイク80km、ラン18kmで開催され、まとめるとこうなる。
8月18日(木)◎ワールドトライアスロン・アクアスロン世界選手権
8月20日(土)◎コリンズ・カップ
8月21日(日)◎ワールドトライアスロン・ロングディスタンス世界選手権
◎PTOツアー・エイジレース
◎ワールドトライアスロン・アクアバイク世界選手権
いささか複雑ではあるが、イベント全体としては最初に予定されていた規模を大きく上回る注目のレースウィークとなるだろう。
当初、チャールズ-バークレーはコリンズ・カップでの復帰を望んでいたようだが、(シーズン序盤の実績がなく)レースに選抜されなかったことにより、ターゲットを変更した模様。
フィットネスレベルとしてはまだ復調中で、タイトルへのこだわりはないようだがまずはレースに復帰し、次に繋げることを最重要視しているのだろう。
いずれにせよ彼女の復帰戦にも注目が集まっている。
一方、アイアンマン世界選手権チャンプ3度、オリンピック金メダリストのヤーン・フローデノ(写真上)は、数週間前にバイク事故に見舞われ臀部まわりなどをひどく負傷。
残念ながら今シーズンの後半はリカバーに専念しなければならなくなっている。
当然、今年10月のアイアンマン世界選手権(ハワイ)もキャンセルしなければならず、シーズン当初からアキレス腱の怪我と戦ってきている彼にとって、2022年は不運な年となってしまった。
昨年は自らプロデュースした トライバトル で当時のロングディスタンスの世界記録をマーク(7時間27分53秒)し、8月に行われたコリンズ・カップではマッチレース内でトップを快走。本来の強さ、パワフルな走りを印象づけていた。
今回のコリンズ・カップも、故障がなければ間違いなく主役のひとりとしてノミネートされていたはずだ。
フローデノは自身のインスタグラムで、「今はリカバーの良い機会だととらえているし、コンディションも良い方向に向かっている」「リスタートして、最後となる14カ月でレースを楽しみ、情熱を燃やし続けたい」とコメント。
14カ月後にあるのは、紛れもなく2023年のアイアンマン・ハワイで、さらには来シーズンでプロトライアスリートとしてのキャリアを終える覚悟をもっていることを指しているだろう。
奇しくも今年のコリンズ・カップのレースウィークに41歳の誕生日(8月18日)を迎えるフローデノ。
彼ならではといえるフィニッシュ時のパフォーマンスをもう一度見たいというファンは多い。
その日が来ることを信じよう。