アイアンマン世界選手権2023を検証する。来年は男女レースの開催地を別にして実施

IRONMAN

2023年のアイアンマン世界選手権は女子レース、男子レースそれぞれ異なる地で開催するーー。
11月30日に主催者から発表されたニュースは、世界のアイアンマン・トライアスロン界に大きなインパクトを与えている。

今年、初めてハワイ島コナで2日間(10月6、8日)開催された同レース。そして2023年は10月12、14日に実施するとすでに公表されていた中でのアナウンスだった。
一体、何が起こっているのだろうか?

今年10月のレース終了後、主催者は2日開催の成功を強く謳っており、実際、プロ女子のレース混雑の緩和など評価する意見は聞かれていた。
しかしその一方で、地元コミュニティの負担は増大していたようだ。

大会に関わる警察官の増員や交通渋滞、規制の長時間化。出場者増による宿泊施設の不足が目立つも、米国の記録的な物価高騰などが起因し、地元への経済効果があまり得られなかったことなど、レースを終えての問題点もクローズアップ。
今回の変更決定は、そういった要因によるところが大きい。
(実際、レース現地では迂回路の交通渋滞や宿泊費の高騰など、関係者への影響も散見されていた)

1978年にハワイ・オアフ島でスタートしたアイアンマンは、ホノルルでの交通影響などにより81年から舞台をハワイ島に移している。それから40年の時を経て育まれてきたアイアンマンの発展により、同じ歴史をたどっているという見方もできるだろうか。

これにより2023年のワールド・チャンピオンシップはプロも含めた女子のレースを10月14日にハワイ島コナで、そして男子のレースは新たなロケーションを選定して開催するという。
そして2024年は男女の開催地を入れ替えて実施。つまり、今後は男子、女子のレースがそれぞれ別々に行われる予定となっている。

コロナ禍を経て、アイアンマン世界選手権の動向は目まぐるしいものがあった。
まず昨年10月に2年ぶりの開催となるはずだったレースを2022年2月にスライド。その後、新型コロナウイルスの収束が見えない中、(2月に予定していたレースを)5月に延期とし、開催地もアメリカ・ユタ州セントジョージに変更した。
それとあわあせて、今年10月の世界選手権(ハワイ)を2日開催にすると発表している。

2日開催が不可欠な世界選手権
いまや世界各国40以上の大会数を数えるアイアンマン(フルディスタンス)レース。世界選手権はその頂点に位置し、各国それぞれのレースで出場権を獲得したアスリートのみがその舞台に立つことができる。

一方で、そのレース数を鑑みると世界選手権は2レース分のキャパシティが不可欠になっているのが実情だ。
そしてアイアンマンの主催者は今年7月、2023年大会に向けて17のアイアンマンを『Women For Tri イベント』に指定し、それぞれの大会で女性のスロット(出場枠)を増やすことも発表。トータルで1,260枠を追加するとしている。

では2023年男子の新たな開催地はどこになるのか? レース主催者は来年1月に発表するとしており、それまで詳細は待たなければならない。
その一方で、一部のトライアスロンWEBメディアではフランス・ニースが候補地だとも報じられている。
・TRIATHLON TODAY(ヨーロッパ・メディア)
・triathlon MAGAZINE(カナダ・メディア)
いずれにせよ、レースを主催するアイアンマン・グループのコミュニケーション・マネージャーに問い合わせを入れるも今のところ返答はきておらず、ここでは、(ニース開催は)憶測の域を出ないということになるが。

南仏、コート・ダジュール。ニースは風光明媚なロケーションでも有名だ

レース主催者が『来年1月に発表』としているのは、仮に候補地が決められていても、実際の開催にあたり調整がまだまだ必要という状況なのだろう。

ただ、フランス・ニースが上記ニュースの遡上に挙げられること自体には、違和感を抱く関係者は少ないのではないだろうか。
同地では2005年からアイアンマンが行われており、さらには2019年にはアイアンマン70.3世界選手権が実施。今年5月、初めて世界選手権として開催されたセントジョージと似通ったプロフィールという見方もできる。

そして何よりもニースという街はスポーツイベントに関しての理解度が非常に高い。
毎年3月には世界トップランクのサイクルロードレース『パリ〜ニース(写真上)』が実施されており、近年では2020年ツール・ド・フランスのグランド・スタート地点にも選ばれている。
ワールド・イベント開催地の素地としては申し分ないだろう。

ヨーロッパのサイクルロードレース界でも数々のビッグレースが開催されているニース。トライアスロンイベントでも写真と同じバナーが使用されている

今後、レース主催者は開催概要の大幅な変更にともない、世界選手権への(予選レースとして2023年に実施される)各国アイアンマンに割り当てられる出場枠数を見直し、アイアンマン・シリーズのHP で発表するという。
2023年、アイアンマンの基軸は大きく変わろうとしている。
その全貌が明らかになるまでもうすぐだ。

関連記事一覧

おすすめ記事

過去の記事ランキング

  1. 1

    国内大会からまたハワイへの道が開かれる日が!2023年日本でアイアンマン開催実現に期待しよう!

  2. 2

    トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 速攻TTバイクリポート

  3. 3

    フェルトの新型トライアスロンバイク 2022年の注目モデルをチェック

  4. 4

    最速TTバイク/五輪を制した “サーヴェロ・P5” を検証する

  5. 5

    ブルンメンフェルトの強さ&速さの秘密とは?【前篇】/宮塚英也のトライアスロン“EYE” 〜トライアスロン・トレーニングの鉄則〜

  6. 6

    世界のアイアンマン・2021シーズンの今

  7. 7

    九十九里トライアスロン2021【動画リポート】

  8. 8

    クリスティアン・ブルンメンフェルト アイアンマン・7時間21分12秒の衝撃 / 世界記録を更新

  9. 9

    2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

  10. 10

    ブルンメンフェルトが利用する最先端ウエアラブル・センサー “CORE” 次世代トレーニング・アイテムに注目

おすすめ記事 過去の記事
  1. 【4K動画レポート】スワコ エイトピークス トライアスロン2022/注目ミドル大会のコースの魅力を徹底紹介

  2. IMセントジョージ特集 /【動画】で見るトップ選手のレース前ウォーミングアップ

  3. トレック/新型 Speed Concept ディスク化だけではない注目のファストバイク

  4. 水郷潮来トライアスロン2020【動画リポート】

  5. 《Hawaii 特集》10月7日、9日(日本時間未明)にアイアンマン・ハワイが開催 / ダニエラ・リフの世界選手権通算6勝なるか?(女子プロ有力選手展望)

  6. They are ready to battle! / DAZN でコリンズ・カップがライブ配信される!

  7. アイアンマン世界選手権2023の男子レースはフランス・ニースで開催決定。2026年まで男女レースの舞台をハワイ&ニースで交互開催に

  8. 《Hawaii 特集》10月9日(日本時間未明)にアイアンマン・ハワイ男子プロがスタート / クリスティアン・ブルンメンフェルトの同一年世界選手権制覇なるか(男子プロ有力選手展望)

  9. 人類はどこまで速くなれるのか? フルディスタンスで “サブ7&サブ8” を目指すプロジェクトの意義とは

  10. IMセントジョージ特集 / 注目選手&決戦バイク① 〜ローラ・フィリップ & キャニオン・Speedmax CFR 編〜

  1. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 エアロロードという選択肢

  2. ツール・ド・フランス2021特集 レースを支える応援者は“もうひとりの主役”

  3. 自転車大国フランスではトライアスロンももちろん人気

  4. 【動画】チーム&クラブ訪問/Team BRAVE 編(兵庫)

  5. 東京五輪のコロナ対策でフォーカスすべき “Bubble (バブル)” とは?

  6. 躍進するシマノ。今年のツール・ド・フランスにも注目

  7. ツール・ド・フランス 2021に見る東京五輪を走るバイク③ 〜アレックス・イー編〜

  8. トライアスリートのためのツール・ド・フランス特集2020 ブレーキシステムのトレンドを追う

  9. ツール・ド・フランス2021に見る東京五輪を走るバイク② 〜ドリアン・コニン編〜

  10. 2023年のアイアンマン・ハワイも2日開催に。シリーズ全17大会で女性スロットを拡充

TOP