まさに急転直下の路線変更だ。アイアンマン・シリーズの主催者は4月30日、2026年よりアイアンマン世界選手権を再びハワイ島コナにて、男女同日に実施すると発表した。
開催日は来年の10月10日。
2023年からの、コナ(ハワイ)、ニース(フランス)それぞれで男女別レースとして開催地を交互に変え、4年間実施するというシナリオからアイアンマン・ワールドチャンピオンシップは大きく舵を切り、新たな歴史を刻むことになった。
2023年1月にアナウンスされた向こう4年間のアイアンマン世界選手権スケジュールでは、2026年大会は男子がコナ、女子がニース開催の予定だったが、2021年以前のもとあるカタチへと回帰することが決定したわけだ。

2026年はクィーンK・ハイウェーに男女アスリートが疾走する光景が戻って来る
その理由は大きく分けてふたつ。
ひとつは、主催者がここまで世界中のアスリートや関係者から万単位のアンケートなどのフィードバックを得た結果、圧倒的に「男女同日でアイアンマン選手権をコナで実施すべき」という意向が占めることが分かったことだ。
そもそも2023年からの男女別日、別会場での開催フォーマットは、2020年から続いたコロナ禍によるレース開催キャンセルの影響を受けてのこと。
2年以上繰り越しになったかたちで、まず2022年5月にアメリカ・ユタ州セントジョージで最初にして(今のところ)最後のアイアンマン世界選手権を開催。同年10月にコナ(ハワイ)で史上初となる2日間(10月6日と8日)で行っている。(写真下)
しかし、ハワイでの2日開催は地元に多大な負担をかけることとなり、継続していくことは不可能と判断。フランス・ニースがもうひとつの「世界選手権開催地」として選択されたわけだ。

2022年ハワイ世界選手権・プロ女子レースを制したチェルシー・ソダーロ(アメリカ)
さらにアイアンマン・シリーズ主催者は、女子選手だけの新たな世界選手権開催を、それまで推し進めてきた女性のアイアンマン参加促進を具現化するプログラム「Women for Tri」にフィットしたフォーマットと位置づけ、実施理由のひとつにもしていた。
しかし、実際には新たな座組での開催3シーズン目に入った現状を鑑みたとき、女性参加者の増加に寄与することはなく、むしろマイナス面が見られる点のほうが大きかったという。
これが、ハワイでの男女同日開催に回帰することになったふたつめの理由となる。

2023年から新たなアイアンマン世界選手権の舞台となったニース。2026年はアイアンマン70.3の世界選手権、さらには同世界選手権を2028年に行うことが決定したことも今回発表されている
新たにスタートする2026年のアイアンマン世界選手権の出場枠は約3,000人。各国のシリーズ・レースに与えられるスロットや詳細は数週間以内に発表予定とのこと。
2026世界選手権開催に関してはスタート時刻やウェーブ形式を熟考し、新しい競技ルールの導入などによりすべての参加者に公平で質の高いフォーマットを提供。男女プロ選手に関するメディアの発信力も発展&平等化が推し進められるという。
2025年アイアンマンのシリーズ戦が本格化して約1カ月。
世界各地で行われるアイアンマン・レースも含め、5月からめまぐるしく情報が発信されることも予測されるので、それらもつぶさにフォローしていくことにしよう。
>> アイアンマン世界選手権の特集ページ ※リンク
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【2026年アイアンマン世界選手権開催のアナウンス動画】