KTMというブランドをご存知だろうか? 世界的に知られているのはモーターサイクル・プロダクツで、オートバイレーシングの世界選手権である Moto GP グランプリにも参戦し、近年トップカテゴリーで躍進中。またモトクロス、ラリーなどのオフロードレーシングにも精力的にバイクを投入する傍ら、バリエーション豊かな市販モデルを展開しているオーストリアのメーカーだ。
そのプロダクツにBICYCLEラインがあることは、日本では一般的にはあまり知られていないと思われるが、欧州では言わずと知れた自転車メーカーでもあるのだ。このコラムのタイトルに「新興」と冠してしまたが、あくまで日本からの目線ということで本来、自転車でも長い歴史をもつ。一方、昨年からツール・ド・フランスに参戦している BB ホテルズ P/B KTM が同社のモデルを採用していることから、注目している人もいるだろう。
そのラインアップにはロードバイクだけでなくe-バイク、マウンテンバイク、シティバイクなど数多くのカテゴリー&モデルがあり、そこにはTTバイク、さらにはトライアスロンバイクも含まれている。これは気にならないわけがない。
そして今回のツール・ド・フランス(TDF)の第5ステージ、個人タイムトライアルで BB ホテルズ が導入したのが KTM/TEAM TT だ。外見の印象としてはきわめてバランスのとれたコンパクトなフレームレイアウト、そしてスペーサーの使用によるDHバーの高さ調節が容易な点など。ただ一般向けとしてはフレームセット販売のみなので、これ(スペーサー使用)はチームの独自アッセンブルだろう。
シマノのコンポーネンツ+チーム独自のパーツアッセンブルが目立った
今後チェックしておきたい『SWISS SIDE』
コンポーネンツのメインはシマノだが、クランクまわりはフルスピードアヘッド、ペダルはルックなどチーム独自のアッセンブルが見てとれる。またディスクローターもシマノのロードモデル用ではなく、選手によってはリムブレーキ仕様もいた。
注目すべきはホイール。DTスイスがメインなのだが、よく見るとホイールの縁に「エアロダイナミクス by SWISS SIDE(スイスサイド)」とある。このスイスサイド社とはF1の元エンジニアが創設したメーカー。最先端の風洞実験やコンピュターでの流体解析を駆使し、とことんエアロダイナミクスを追求したプロダクツの製作やテクノロジーの供給を行っている。トライアスロンではアイアンマン・ハワイの優勝経験をもつパトリック・ランゲが採用していることでも有名だ。
ホイールの縁に「SWISS SIDE」とのコラボレーションを示すロゴが見られる(写真右)
また、このTTラインアップにはシート角度が立ったトライアスロン専用モデルも用意されている。
とはいえ、残念ながらKTMの自転車自体が国内での取扱がないのが現状だが、今後海外のアイアンマン・シーンなどでトップトライアスリートが利用する姿を見ることができるかもしれない。
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