2022シーズンも後半を迎える中、新たな注目レースとなっているPTO・USオープンが今週末実施される。
これは、イギリスに拠点を置くトライアスロン機関のPTO(Professional Triathletes Organization)が今年、トライアスロン大会のシリーズ戦として立ち上げた『PTOツアー』のひとつ。(※写真をタップするとフルサイズで見られます)
このシリーズ戦の発端となったのが、先月8月にスロバキアで開催された『コリンズ・カップ(写真上)』だ。
PTOはノンドラフティングレースに出場するプロ・トライアスリートのランキング化事業(PTO世界ランキング)も行っており、それをベースに選抜された男女36人のトップトライアスリートが同レースに出場。昨年に続き2度目の開催となっていた。
そしてPTOは、このコリンズ・カップを中心にカナダ・エドモントン、アメリカ・ダラスで “PTOオープン” としてシリーズ(ツアー)戦を今年実施している。その最終レースが週末行われるわけだ。
<2022シーズン・PTOツアー大会>
・7月23〜24日 PTOカナディアン・オープン(カナダ・エドモントン/写真下) ※終了
・8月20〜21日 コリンズ・カップ(スロバキア・ブラチスラヴァ) ※終了
・9月17〜18日 PTO・USオープン(アメリカ・ダラス)
PTOツアーの開幕戦となった7月のカナディアン・オープン。エドモントンの市街地を駆け抜けるコースも特長のひとつだった
今回の PTO・USオープンの距離は、コリンズ・カップ(スイム2km、バイク80km、ラン18km)と同じミドルディスタンス。
これが、PTOツアーのレースフォーマットとなっている。
このレースが注目されている一因に賞金がある。すでに終了したカナダ、そして今回のアメリカの大会ごとの総額が100万ドル(約1億4,000万円 ✕ 2レース/1位に10万ドルなど)、コリンズ・カップでは引き続き150万ドル(出場者36人へ順位に応じて支払われている)の賞金総額となっている。
そんな中開催される “PTO・USオープン” の出場メンバーはカナディアン・オープン大会からさらに充実。これはミドルディスタンス〜ロングを中心に活動しているプロアスリートたちへの注目度が上がっている結果だろう。
<プロ出場者の主要リスト> ※画像タップで拡大
男子出場者リスト(左)と女子リスト(右)。注目選手の名前が多く並ぶ
女子の注目度ナンバーワンはやはりルーシー・チャールズ-バークレー(写真下)。
今シーズン序盤に負ったケガからの復帰戦。前述のコリンズ・カップと同じレースウィーク&同じ会場(スロバキア・シャモリン)、そしてほぼ同じ距離で行われたワールドトライアスロン・ロングディスタンス世界選手権を3時間34分17秒で優勝している。
これはコリンズ・カップ女子最速タイムをマークしたダニエラ・リフの4時間28分49秒には劣るものの、同レース全出場者(18人)中8番目のタイムで、PTO世界ランキング上位が集まったレースと比較しても上々の復帰戦となっていた。
彼女はこのあと、10月28日、29日に開催されるアイアンマン70.3世界選手権に出場予定で、2度目の70.3世界選手権チャンピオン獲得に向けて、さらに調子が上げられるかが焦点にもなっている。
そしてもうひとり中核になるであろう選手がフローラ・ダフィ(写真下)。彼女は総距離100kmのコリンズ・カップで思うような走り(バイク、ラン)ができず、悔しい思いをしていただけに、今回のレースに向けての意気込みは並々ならぬものがあるはずだ。
ただ、一方で彼女は先日、アイアンマン70.3世界選手権への招待を受け出場することを発表。さらには彼女が「今シーズン最大の目標」と公言している、母国バミューダで開催されるワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ(11月5日、6日)が控えており、PTO・USオープンでのコンディショニングが注目されるところではある。
コリンズ・カップで実戦お披露目となるトライアスロンバイクを導入したダフィ。見慣れたスペシャライズド/S-WORKS SHIV がひときわ目立っていた
男子の有力選手は、8月のコリンズ・カップからスライドしてきたようなメンバーともいえる。
まず何と行ってもライオネル・サンダースとサム・ロングだ(写真下)。ふたりはコリンズ・カップで(同じマッチレースで)わずか2秒差という、火花が飛び散るようなサイド・バイ・サイドのレースを繰り広げており、その再現なるかというところにも期待が集まっているだろう。
そして今年、ロングで若手急成アスリートとしてパトリック・ランゲに称賛されたマグナス・ディトレフ、ハイスピードのミドルレースに高い対応力をもつダニエル・べケゴーのデンマーク勢など。
高い身長をコンパクトに折りたたみバイクを走らせる姿が印象的なディトレフ(写真右)。10月のハワイでも上位候補に挙がってくるだろう
ミドルでは安定した強さを見せるベケゴー。ハワイでさらなるポテンシャルを見せることができるか
一方で、コリンズ・カップで上位を占めたダニエラ・リフ、アンネ・ハウク、ローラ・フィリップ、そしてクリスティアン・ブルンメンフェルト(写真下)などは、すでに10月のハワイ(アイアンマン世界選手権)に目標を定め(USオープンには出場せず)各自トレーニング地で準備を進めている。
そしてUSオープン出場組も、多くはこのレースを経て、コンディションを上げてハワイに臨んでくるはずで、このあとシーズン後半のビッグ・レースも興味が尽きないだろう。
いずれにせよ、初開催となるUSオープンは男女それぞれ一斉スタートとなり、その着順がそのまま獲得賞金額につながるレースとなるので、激しい争いが繰り広げられることは必至だ。
<女子プロ> 9月18日 午前1時45分スタート
<男子プロ> 9月19日 午前4時45分スタート ※いずれも日本時間
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