ヨーロッパのレースから見る世界のアイアンマン・シーン

コラム

アイアンマン・グループは10月末、欧州では18番目のアイアンマン(IM)レースとなる「アイアンマン・マヨルカ」を2021年5月15日にスペインのマヨルカ島で開催すると発表した。
地中海西部のバレアス海に位置し、冬でも温暖な気候で有名なマヨルカ島は、ヨーロッパのトライアスリートやサイクリストのオフのトレーニング地としても知られている。実はこの島では2014~16年までアイアンマンが行われていたのだが、来季は新レースとしてのスケジューリングとなる。
アイアンマン(フルディスタンス)やIM70.3など、今や世界5大陸に渡り年間で170以上を数えるシリーズレース。しかし今年は新型コロナウィルスの影響で軒並み延期、あるいは中止となっているのは周知のとおりだ。10月に入り、大陸やエリアによっては開催日やスケジュールの調整などを経て実施される大会も徐々に出てきているが、世界的に見るとまだまだ難しい状況といえる。
そんな中、来春の新しいレース開催の発表、しかもスペインをはじめ欧州全域でコロナウィルス感染が再拡大し、フランスでは全土で外出規制や都市封鎖などの政策がとられる中、11月5からエントリーを開始するという。日本では少し考えられないスタンスといえるだろう。

マヨルカ島はトライアスリートやサイクリストの練習場所としても有名だ
Photo by Bryn Lennon/Getty Images for IRONMAN

ヨーロッパでは8月末から実施されたツール・ド・フランスをはじめとする3大グランツールや、主要なクラシック・サイクルロードレースが、再調整されたスケジュールどおり開催されてきた。
しかしながら時を同じくして欧州の感染拡大も進行しており、当初予定の6月末から2カ月遅れで始まったツール・ド・フランスの現場では、レースの途中打ち切りもあり得るという雰囲気が強かったようだ。ツール・ド・フランスに関わる人は選手・メカニックや運営スタッフ、報道などを含めて約4000人といわれている。その4000人規模のイベントが23日間、しかもフランス国内を縦断しながら開催され続けたことに、奇跡と評するジャーナリストもいたくらいであった。

Photo by Bryn Lennon/Getty Images for IRONMAN

しかし現時点の欧州自転車界を見ると、スペインで行われるグランツール(Grand Tour)が国境をまたぐルートを変更し、さらには感染状況を鑑みて中止とするレースも出てきている。実際、「いまやパンデミックの中心部」となっているヨーロッパのスポーツシーンは、再び先が見えない厳しい状況に見舞われているといえる。
そんな中での新しいレースの開催発表は、アイアンマンを主戦場とする、あるいは目標とする世界のトライアスリートの不安を払拭し、この先のシリーズをとめないというアイアンマン主催者の強い意志の現れともとれるだろう。
アイアンマンのヨーロッパ・中東・アフリカ担当マネージングディレクターは、「マヨルカ大会はこの地域で18あるフルディスタンスのアイアンマンのキックオフになると同時に、欧州シーズンの幕開けの大会になる。トライアスリートに素晴らしいロケーションを提供するだろう」と自信を示す。
そんな想いの表れか、北米を中心に年内に予定されている8つの大会も開催の姿勢を変えておらず、来季、チリから始まるシリーズも募集を継続中、あるいはすでに定員に達している大会も多い。
いうまでもなくアイアンマン・シリーズは世界のトライアスロンシーンに大きなインパクトをもたらすイベントのひとつである。それだけに、今後の各国のシリーズ・レースの実施可否は、例年、春先からスタートするシーズンがまだ見通しにくい日本国内にも少なからず影響を与えるはずだ。
そういった状況を踏まえ、まずは来月(11月)以降に予定されている各国レースの動向に注目しておこう。

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