このコロナ禍にあって、3月6日に2021アイアンマン・シーズンのキックオフレースとなる予定だったアイアンマン・ニュージーランド(NZ)が、3月27日に延期されることになったと3月2日に発表された。
2月27にニュージーランドの首都であるオークランドで1名の新型コロナウイルス感染者が確認されたことを受け、政府は都市を3月7日までロックダウンすると決定。学校や公共施設などを閉鎖し生活必需品の買い出しや必要不可欠な仕事以外の外出自粛を課し、さらに市外との往来も禁止した。これを受けてのアイアンマンNZ主催者の対応となる。
ニュージーランドは昨年の新型コロナウイルス感染拡大時の早い段階から厳格な政策を実施。前回2月13日にはわずか3名の感染者の確認を経てロックダウンに踏み切るなどして、ウィルス感染の封じ込めに成功している国として世界的に知られている。現在も海外からの厳しい入国制限を設けており、永住権保持者などごく一部の対象者を除き渡航することはできない。実際、アイアンマンNZの参加者リストを見てみても大半がニュージーランド国籍のアスリートである。
わずか72時間後の決断
そんな中、開催直前になっての3週間のレース延期の発表。今年は国内在住の参加者が大半を占めているとはいえ、日本では少し考えられないフレキシブルな対応といえる。一方で主催者は、政府の首都ロックダウン決定から3日間、非常に難しい選択を求められ続けていたと明かしている。
「これだけの規模のイベントの延期は並大抵な要因でないとありえないことですが、現実を見極めなければなりません。タウポの自治体、スポンサー、ボランティアの理解やサポートを取り付けるのにはある程度の時間が必要でもありましたし」
そういった期間中も、参加するトライアスリートへはフェイスブック上で、今後の政策を鑑みながらの最新情報を主催者は順次発信。あわせての理解と協力を求め続けて来ていた。現時点ではウェルカムパーティーやキッズラン、アワードパーティーなど大会に関連するイベントはすべてキャンセル。ハワイ・スロットのロールダウン発表もオンライン形式を予定しているという。もちろん、この延期により参加ができなくなったトライアスリートにはキャンセル対応を行う。
今回の異例ともいえる大会の(短期間の)リスケージュールについて主催者は、「延期された3週間で気持ちと身体をレースにアジャストしていくのは難しいかもしれません。でも、願わくばこの延長されたトレーニング時間が皆さんに歓迎されることを我々は期待しています」と参加者に発信。さらには、「Anything is possible. 信念があれば何でも実現できるということをレースでお示ししたい」と意気込みを語っている。
1985年にオークランドでスタートし、99年に北島中部のタウポに場所を移して開催し続けられているアイアンマンNZ。当初は世界でわずか6レースしかなかったオリジナル・アイアンマンのうちのひとつである大会のこの決断は、アイアンマンのイデオロギー具現化のひとつといえるだろう。
いずれにせよ現状、今年のアイアンマン・シーズンはNZからスタートする予定だ。