いよいよ7月末から東京五輪が始まる。トライスロンの舞台はもちろん東京お台場。レースの見せ場のひとつがバイクパートであるのはいうまでもなく、この高速&テクニカルなコースを各国選りすぐりのトライアスリートたちが究極のバイクを駆り疾走する。一方、現在行われているツール・ド・フランス(TDF)を見てみると、今回の五輪に出場するトライアスリートと同じメーカー・モデルを使用しているチームは多い。それらはどのようなスペックで投入されているのだろうか。バイクの特性とともに、TDF現地から最前線の情報をリポートする。
バンサン・ルイ(フランス)
<使用バイク>スペシャライズド/S-WORKS TARMAC SL7
すでに東京オリンピックのフランス代表を決めているヴァンソン・ルイ。2年連続のワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ(WTCS)チャンピオンで、今回のトライアスロン男子優勝の有力候補のひとりとなる彼が使用するのが、ツール・ド・フランスでも注目されているオールラウンドモデル『スペシャライズド/S-WORKS TARMAC SL7』だ。
スペシャライズド・ブランドのバイクは、アイアンマンのみならずWTCSでも多く使用されている。先月行われた横浜大会を見ても2015年以降、確認できているだけでもダントツのトップシェアを誇り、また多くのウィニングバイクを輩出してきた。
S-WORKS TARMAC SL7 はターマックのラインはでオールラウンド・ロードモデルのフラッグシップとなる。軽量性、エアロダイナミクス、そしてシビアなハンドリングなど、現行ロードバイクの頂点の一台といえるモデルである。
<ツール・ド・フランスで使用するチーム>
・ボーラ・ハングスローエ(ドイツ)
・ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
ボーラ・ハングスローエ、ドゥクーニンク・クイックステップの2チームとも(タイムトライアルを除く)19ステージすべてを S-WORKS TARMAC SL7 で戦う
両チームとも2019年まではエアロロードとなるヴェンジと、オールラウンドモデルのターマックをコース特性や選手の好みにあわせて使い分けていた。しかし S-WORKS TARMAC SL7 が出た2020年大会からはバイクを1本化。つまり新型ターマックは、平坦な高速ステージからテクニカルコース、そしてヒルクライムまでをこれ1台で十分乗り切る性能を備えていることを表している。
このニュータイプ(幅広いコース適応特性をもつモデル)ともいえるオールラウンドバイクは、ここ2年ほど前からのツールでもトレンドとなっていて、ピナレロ/F12に始まり今年はラピエール/エアコードDRSなど各メーカーが新モデルを輩出、あるいは熟成を重ねていることは、トライアスリートも知っておきたいところだ。
ツールに出場しているボーラ・ハングスローエとドゥクーニンク・クイックステップのバイクの仕様はほぼ同じ。メインとなるコンポーネンツこそシマノ・デュラエースだが、ホイールなどエキップメントはスペシャライズド傘下のメーカーでそろえられている。
シマノ・コンポーネンツのツール・ド・フランスにおけるシェアはもはや圧倒的になった
ボーラ・ハングスローエでは前後で違うリム高のホイールを組み合わせるライダーが多い
ビッグメーカーらしいアッセンブルともいえるが、特に注目したいのはロヴァールのエアロホイール。リアに50mm、フロントにそれよりもハイト(リム高)が低いホイールの組み合わせをチョイスしている選手が多く、高い次元でのエアロ効果と操作性のバランスを目指していることがわかる。
<取材協力>Triathlon GERONIMO ※リンク