距離フォーマットや様式は違うものの、ワールドトライアスロン・チャンピオンシップシリーズ、アイアンマン・シリーズ、チャレンジ・ファミリー(シリーズ)など、世界で幅広くネットワーク展開しているメジャー・トライアスロン大会に、ニューフェイスが2022シーズン加わる。
“PTOツアー”
プロ・トライアスリートのランキング化事業やレース開催などを通じ、トライアスロン・コミュニティのさらなる発展を目的として設立された Professional Triathletes Organization(PTO)が2022年に新たにリリースするトライアスロン・イベントだ。
2014年にイギリスで生まれたPTOは2021年の8月、スロバキアで初開催された観戦型エリートレース『コリンズ・カップ』を主催。これはPTOが策定する前述のプロ年間ランキングをベースに選抜された、男女36人のトップトライアスリートが出場した大会で、その賞金の総額はなんと約1億7,000万円。優勝者に1,100万円のプライズマネーが与えられ、世界的に非常に大きな注目を集めていた。
初開催となった2021年8月のコリンズ・カップはビッグイベントのムード、演出が随所に漂っていた
PTOは早くから翌年のコリンズ・カップ開催を表明していたが、2022シーズンはさらに規模を拡大し、“PTOツアー” として実施するとこの度発表している。
具体的には、USオープン、カナダ・オープンの2レースを新たに(PTOツアーとして)立ち上げ、引き続きコリンズ・カップをシーズンのチャンピオンシップ的な位置づけとして開催するという内容。それに加え、2023年にはヨーロッパ・オープン、さらにはアジア・オープンの新規大会も予定しているという。
<2022シーズン・PTOツアー大会予定>
・7月23〜24日 PTOカナダ・オープン(カナダ・エドモントン)
・8月20〜21日 コリンズ・カップ(スロバキア・ブラチスラヴァ)
・9月17〜18日 PTO・USオープン(アメリカ・ダラス)
と、ここまで記してイメージされるのは、テニスやゴルフのプロ・シリーズ大会だ。全米オープンや全英オープンなどといったメジャー大会が、これらの競技では高いステータスを誇り、さらにテニスではシーズン最後にチャンピオンシップ・トーナメントが実施されているわけだが、PTOツアーはそんな全体フローにも見て取れる。
実際のところ、PTOが主宰するランキングシステムは、他のプロスポーツの世界ランキングをモデルに創設したとしており、そういう意味でコリンズ・カップは、テニスの年間王者決定戦となるATPファイナルズと同じ位置付けとなる。
男子レースを制したヤーン・フロデノ(写真左)、アイアンマン70.3世界選手権優勝のグスタフ・イデン(右)など豪華なメンバーが集結。2022年大会ももちろん彼らは参戦を視野に入れているだろう
それぞれのレースのレギュレーションは。初回開催となったコリンズ・カップのフォーマット(スイム2km、バイク80km、ラン18km)と同じミドルディスタンス基調となる。
これはアイアンマンを主戦場にしているアスリートはもちろん、51.5kmを中心に実績を残してきた選手たちもカバーできるといえる設定。ロングを得意とするトライアスリートにとっては、出場レースでの消耗度が比較的(フルディスタンスと比べて)低いだろうから、年間レーススケジュールに組み入れやすいはず。一方、オリンピックイヤーが一段落したあと、活動フィールドを広げている(ミドルディスタンスなどに出場している)選手も直近では増えてきている。
東京五輪3位のケイティー・ザフィアエスなどオリンピック組も多く出場した
注目すべきはその賞金だ。カナダ、アメリカの各レースごとの総額が100万ドル(約1億1,000万円 ✕ 2レース)、さらにコリンズ・カップは引き続き150万ドルと発表されており、合計するとなんと4億円。これだけでも、プロアスリートとしては必然的に注目すべきシリーズとなるだろう。
その賞金配分の内訳はこれから示されるが、ベースは2021年のコリンズ・カップと同じとなるはず。だとすると、それぞれ単一のレースとしては破格。まさにテニスやゴルフのメジャー大会と肩を並べるシリーズ&チャンピオンシップ・イベントとなり、これらからも、距離関係なく『最強のトライアスリート決めるシリーズ戦』として成長していく可能性も十分秘めているといえる。
(2021年コリンズ・カップの賞金は男女トップに各1,100万円、2位に1,000万円と順に配分され、出場中最後となる18位の選手にも200万円が与えられている)
実際、2021年のコリンズ・カップではヤーン・フロデノ、パトリック・ランゲ、セバスチャン・キーンレ、そしてダニエラ・リフの男女のアイアンマン・ハワイ覇者や、東京オリンピック・女子トライアスロン銅メダリストのケイティー・ザフィアエスやテイラー・ニブ、さらには2017年ITUロングディスタンス世界選手権覇者のライオネル・サンダースなど、世界のメジャーレースのタイトルホルダーたちが名を連ねていた。
ルーシー・チャールズ-バークレーは女子トップタイムをマーク
さらに、2022年の大会ではエリートだけでなく、一般のエイジグループ・レースが実施される予定。シリーズ3大会のいずれも土日の2日開催スケジュールとなっており、自身のレース出場、そしてトッププロのレース観戦がセットで楽しめるイベントとなる。
この一般カテゴリーのエントリー開始は2022年1月25日予定となっているので、興味のある人は下記の大会HPからチェックしてもらいたい。
まだまだ全容は明らかにされていない部分が多いシリーズ・レースだが、これは現状のコロナウィルス感染の動向を勘案すれば、やむを得ないところでもあるだろう。
しかし、いずれにせよ、このPTOツアーは2022シーズンの世界のトライアスロン・シーンにおいて多大な注目を集めるイベントとなることは必至。今後のトップ・プロトライアスリートの動向にも少なからず影響を与えることになるだろう。
>> TPOツアーのホームページ ※リンク
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